🖋【行政書士が解説】遺言書の種類と効力|公正証書遺言と自筆証書遺言の違い【第4回前半】

「遺言書を書いておけば安心」と思っているかた。

しかし、書き方や形式を誤ると無効になることがあります。

この記事では、行政書士の視点で、遺言書の種類・効力・書き方の基本を、最新制度(法務局保管制度含む)に基づいてわかりやすく解説します。


📘 1. 遺言書とは?

遺言書は、亡くなった後の財産の分け方や希望を法的に残すための文書です。

民法第960条では、「遺言はこの法律に定める方式によらなければ、その効力を生じない」と規定されています。

つまり、正しい形式で書かないと無効になります。

参考:(遺言の方式)
民法第九百六十条 遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。


🧾 2. 遺言書の3つの主要形式

種類特徴メリットデメリット
自筆証書遺言全文・日付・署名を自筆で書く費用がかからず手軽紛失・改ざん・無効リスク
公正証書遺言公証人が作成し公証役場に保管法的確実性が高い・安心手数料・証人2名が必要
秘密証書遺言内容を秘密にして封印・公証役場で手続き内容非公開・形式的確実利用は少なく実務向きでない

🟦 法改正ポイント

自筆証書遺言は、財産目録をパソコンやコピーで添付可になりました。

また、令和2年7月10日より法務局による自筆証書遺言保管制度を利用することで紛失や改ざんを防げるようになっています。


🏛 3. 法務局の「自筆証書遺言保管制度」

🗂 手続の流れ

1️⃣ 事前予約 → 2️⃣ 法務局窓口で提出 → 3️⃣ 保管証を受領

💡 代理申請や郵送による申請は不可。本人が出頭する必要あり。

📍 利用メリット

  • 紛失・改ざんの心配がない
  • 検認(家庭裁判所の手続)が不要
  • いつでも撤回・変更可能

📎 必要書類

  • 自筆の遺言書(A4紙)
  • 本人確認書類(マイナンバーカードなど)
  • 住民票の写し等
  • 保管申請書(法務局サイトからダウンロード)

👉 詳細:法務省「自筆証書遺言書保管制度」公式ページ
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html


⚖️ 4. 公正証書遺言のすすめ

確実に効力を持たせたいなら、公正証書遺言が最も安全、安心です。

公証人が法律に基づいて作成し、原本を公証役場が保管します。

📜 作成の流れ

1️⃣ 行政書士が原案作成
2️⃣ 公証人と打合せ
3️⃣ 公証役場で作成・署名・押印
4️⃣ 正本・謄本の受領

💰 費用の目安

  • 遺産総額に応じて

◆ 基本手数料(目的の価額に応じた金額)

目的の価額手数料
50万円以下3000円
50万円を超え100万円以下5000円
100万円を超え200万円以下7000円
200万円を超え500万円以下13000円
500万円を超え1000万円以下20000円
1000万円を超え3000万円以下26000円
3000万円を超え5000万円以下33000円
5000万円を超え1億円以下49000円
1億円を超え3億円以下4万9000円に超過額5000万円までごとに1万5000円を加算した額
3億円を超え10億円以下10万9000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額
10億円を超える場合29万1000円に超過額5000万円までごとに9000円を加算した額

○全体の財産が1億円以下のときは、上記によって算出された手数料額に、1万3000 円が加算されます。これを「遺言加算」といいます。

その他に証人日当・行政書士報酬などが必要です。


⚠️ 5. 無効になる遺言の典型例

失敗例原因対応策
日付が「令和5年○月吉日」特定日がないため無効西暦・和暦どちらでも可だが日付を明記
署名・押印漏れ形式要件欠如自筆署名・印を忘れずに
内容が矛盾している意思不明確専門家にチェックを依頼
保管されず紛失家族が見つけられない法務局保管を利用しましょう

📘 Q&A

Q1. パソコンで遺言書を作ってもいいの?

→ ダメです。自筆証書遺言は「全文・日付・署名」を自筆で書く必要があります。ただし、財産目録を除く。

Q2. 遺言書は何歳から作れますか?

→ 15歳以上なら可能です(民法961条)。未成年でも単独で遺言作成できます。

(遺言能力)
第九百六十一条 十五歳に達した者は、遺言をすることができる。

Q3. 家族に内容を知られずに遺言を残せますか?

→ 公正証書遺言でも内容を非公開にできます。公証人と証人2人(行政書士等)のみが確認します。


🔵 ○✖️クイズ

Q. 法務局に保管された自筆証書遺言は、家庭裁判所の検認が必要である。

📩 行政書士に相談すべきタイミング

  • 自筆で書いたが形式が合っているか不安
  • 公正証書遺言を作成したい
  • 相続人が多いので分配方法を整理したい
  • 遺言執行者を指定しておきたい

💬 行政書士は、遺言の原案作成・内容整理・公証人との調整までサポート可能です。

相続を「家族への想い」にするため、早めの準備が大切です。

👉 きりゅう行政書士事務所に無料相談する
(初回相談無料・オンライン可)

\ 最新情報をチェック /

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA