【行政書士が解説】銀行口座が凍結されたら?相続人代表者がするべき手続きと流れ【第14話】

ご家族が亡くなり、死亡の事実が金融機関に周知されると銀行口座は停止(凍結)されます。
そうなると預金の引き出しや振込ができなくなります。
「葬儀費を払えない」「公共料金の引き落としが止まる」
こうした相談も多いです。
しかし、手続きの流れと必要書類を知っておけば、慌てる必要はありません。
この記事では、最新制度(預金の払戻し制度含む)を踏まえて
- 口座が凍結される仕組み
- 相続人代表者制度とは?
- 必要書類
- 金融機関での手続きの流れ
- 注意点・よくある落とし穴
を行政書士の視点からわかりやすく解説します。
1. 銀行口座はいつ凍結されるのか
銀行口座は、法律上自動で凍結される仕組みではなく、金融機関が「死亡の事実を知った時点」で取引停止となります。
📌 凍結される契機
| 凍結されるケース | 凍結されないケース |
|---|---|
| 遺族が銀行に死亡を届けた場合 | 家族が届けず銀行が知らない場合 |
| 役所から銀行へ情報提供された場合(情報連携あり) | ネット銀行など連携薄い場合は遅れることも |
👉 公共料金の引き落としや葬儀費用の引き出しができなくなる。
費用などが必要なら早めに「払戻し制度」を利用しましょう。
2. 「預金の払戻し制度」:葬儀・生活費に使える制度
令和元年に改正民法が施行されました。
それにより相続手続き完了前でも、一定額まで引出し可能になりました。
🧾 利用条件
- 対象:相続人(1人ではなく、相続人全員の割合をもとに算定)
- 金額:相続開始時の預金額 × 払い戻しを行う相続人の法定相続分 × 1/3
(ただし金融機関ごと上限150万円)
📄 必要書類例
- 死亡診断書または死亡届受理証明書
- 戸籍謄本(相続人関係が分かるもの)
- 相続人の本人確認書類
- 請求書類(銀行様式)
👉 全部の口座で最大150万ではなく、銀行ごとに150万が上限です。
3. 相続人代表を決める理由
銀行手続きは、相続人全員で行うのが原則ですが、手続きの時間も手間も大きい。
そこで、銀行では「相続人代表者」を1名選任する制度(任意)を求めることもあります。
代表者が担う役割
- 必要書類の提出窓口
- 銀行とのやり取り
- 相続人全員への情報共有
👉 代表者=預金をもらう人ではない。
誤解されやすいので注意。
4. 必要書類(一般例・銀行により異なる)
| 書類 | 対象者 |
|---|---|
| 死亡届受理証明書/除籍謄本 | 被相続人 |
| 出生から死亡までの戸籍一式 | 被相続人 |
| 相続人の現在戸籍 | 相続人全員 |
| 遺言書(ある場合) | 確認必須 |
| 遺産分割協議書 | 相続人全員署名+印鑑証明書 |
👉 遺言書があるかどうかで手続きは大きく変わります。
5. 手続きの流れ(金融機関共通)
① 口座名義人の死亡を連絡
↓
② 必要書類案内 → 代表者決定
↓
③ 戸籍収集・協議書作成
↓
④ 払戻し or 名義変更手続き
↓
⑤ 入金・完了通知
👉 手続き期間:凍結後からおおよそ1か月〜3か月程度
(戸籍収集で時間が止まりがち)
6. よくあるトラブル・注意点
❌ 「代表者が勝手に引き出した」
→ 印鑑証明付きの遺産分割協議書を締結して防止する
❌ ネット銀行も書類手続きで手間がかかる
→ 書類の手続きで処理が長期化することも
❌ 法定相続人を1人でも漏らすと振込が不可に
→ 戸籍の出生〜死亡の連続取得が必須
7. 行政書士に任せるメリット
- 戸籍収集の代行
- 相続関係説明図の作成
- 遺産分割協議書の作成
- 銀行への手続きサポート
- 司法書士・税理士など他士業との連携
👉 「どれをどこに出す?」の混乱を整理できるメリットが。
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💬 よくある質問(Q&A)
Q1. 代表者が勝手にお金を引き出すことは防げますか?
→ 可能です。
印鑑証明付きの遺産分割協議書または遺言書が必要となるために合意なく引出しはできません。
Q2. 手続き途中で相続人が亡くなったら?
→ その人にも相続が発生し、再度相続人調査が必要になります(再相続)。
Q3. 葬儀費だけ先に払い戻すことはできますか?
→ はい、「預金の払戻し制度」または「金融機関独自の制度」で対応できます。
銀行によって手続きに必要書類が異なります。
⭕✖️クイズ
Q. 死亡届を提出しても、銀行に連絡しなければ口座は凍結されない。
まとめ
- 銀行口座は死亡を金融機関が認知した時点で凍結される
- 相続手続き完了前でも一定額の払戻し制度あり
- 相続人代表者を決めると手続きがスムーズ
- 戸籍収集と協議書作成が最も時間がかかる
👉 迷ったら、早めに専門家へ。
「どこから手を付ければいいかわからない…」
そんな方へ。
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