行政書士が解説|宅地建物取引業許可申請の流れ|本店・支店の扱いから免許取得までをやさしく整理(第3話)

「宅地建物取引業(以下、宅建業)の免許申請は、具体的に何をいつまでにやればいいの?」

「将来的に他県に支店を出したい。最初から国土交通大臣の免許が必要なの?」

宅建業免許の手続きは

  1. どの免許権者に申請するか(都道府県知事/国土交通大臣)
  2. どの事務所を本店にするか
  3. いつまでに何を準備するか

この3つを押さえると全体像がはっきりと見えてきます。

この記事では、行政書士の視点から本店と支店の扱い・審査期間の目安・免許番号の意味・申請スケジュールまでの一連の流れを分かりやすく整理していきます。

1. 宅建業免許の基本:知事免許と大臣免許

まずはどこに申請するのか。

宅建業免許の申請先は、次の2種類です。

  • 都道府県知事免許
    • 1つの都道府県内にだけ事務所(本店・支店)を置いて宅建業を営む場合
  • 国土交通大臣免許
    • 2つ以上の都道府県に事務所を置いて宅建業を営む場合

本店・支店のイメージ

  • 本店(主たる事務所)
    宅建業の中枢機能を置く場所(代表者や経理・総務など)。
  • 支店(従たる事務所)
    取引実務を行う営業拠点。

🔍 ポイント
長野県だけで宅建業をする → 長野県知事免許
長野県と愛知県に営業所 → 国土交通大臣免許

最初は知事免許でスタートして、事業拡大に合わせて大臣免許に切り替えるケースがあります。

2. 宅建業許可申請の全体フロー

申請から免許取得までの基本的な流れは、次のとおりです。

  1. 本店・支店の計画を固める
  2. 必要書類・添付書類の収集
  3. 事前相談(任意ですが推奨)
  4. 窓口へ申請書一式を提出 → 受理
  5. 審査(欠格事由・事務所要件・専任の宅建士など)
  6. 免許通知・免許番号付与
  7. 営業保証金供託 or 保証協会加入 → 届出
  8. 正式に免許証の交付営業開始(標識掲示・書類整備など)

✅ 重要なことは「免許が出たらすぐに営業ができるわけではない」 という点です。

免許の通知後、営業保証金(または保証協会)の手続きと届出が完了して、はじめて営業が開始できます。

3. 審査期間の目安とスケジュール感

3-1. 審査期間の標準処理期間

行政庁の標準処理期間として一般的に次のように案内されています。

  • 都道府県知事免許:おおむね 30〜40日程度
  • 国土交通大臣免許:おおむね 100日前後

※あくまで「標準処理期間」であって書類不備や申請の混雑状況によって前後します。

3-2. よくあるタイムライン(新規・知事免許の場合)

例:4月1日に営業開始したい場合

時期やること
1月中旬〜下旬本店・支店の物件を確定/賃貸借契約等
2月上旬専任の宅建士確保・雇用契約、宅建士証のコピーなど準備
2月中旬事務所のレイアウト・標識予定位置の確認、写真撮影
2月下旬行政庁へ事前相談(任意)
3月上旬免許申請書一式を提出(受理)
3月中〜下旬審査(補正があれば対応)
3月末頃免許通知・番号付与
4月上旬営業保証金供託 or 保証協会加入 → 免許権者へ届出
4月中旬標識掲示・帳簿様式整備 → 営業開始

行政庁の繁忙期(年度末など)や書類の不備によっては、審査期間が延びる可能性があります。

特に「3月上旬〜3月末」の期間はタイトになる可能性があるため、事前の準備と相談が成功の鍵となります。


4. 免許証番号の見方|(1)って何?

宅建業者のWebサイトや事務所に掲示されている免許番号は、たとえば次のような形式です。

  • 長野県知事(1)第12345号
  • 国土交通大臣(2)第1234号

それぞれの意味は

  • 「長野県知事」/「国土交通大臣」
    → 免許権者(どこが免許を出したか)
  • (1)、(2)などのカッコ内の数字
    → 免許の更新回数+1((1)は新規、(2)は1回更新済など)
  • 第○○号
    → 各免許権者ごとの通し番号

🔍 注意
(3)だからといって、必ず15年以上の歴史というわけではありません。

大臣免許に切り替えた場合や個人→法人化した場合などは、番号が(1)に戻ることがあります。

5. 開業前に準備しておきたいチェックリスト

✅ 開業前チェックリスト(抜粋)

  • 事業形態の決定(法人/個人)
  • 定款・登記手続(法人の場合)
  • 本店・支店の物件確保(事務所要件を満たすか確認)
  • 専任の宅建士確保(宅建士証コピー・雇用契約など)
  • 事務所の設備(電話・PC・ファイル保管スペース等)
  • 営業保証金 or 保証協会のどちらにするかを検討
  • 名刺・ホームページ・業者票デザインの準備
  • 行政書士への相談タイミング(申請前に1回話を聞いておくと安心)

6. よくある質問(Q&A)

Q1. 本店は長野、支店を愛知に出す予定です。最初から大臣免許が必要ですか?

A. 開業当初は本店だけで支店は数年後という場合は、まずは「知事免許」でスタートして、その後支店設置のタイミングで大臣免許へ切り替えます。


Q2. 申請からどれくらいで免許が下りますか?

A. 標準処理期間として、知事免許で30〜40日程度が目安です。

国土交通省や各自治体が公表している標準処理期間は

  • 知事免許:30〜40日程度
  • 大臣免許:おおむね100日前後 とされています。

ただし、書類の不備や申請の集中時期によっては前後します。


Q3. 免許が下りたら、その日からすぐに営業できますか?

A. いいえ。営業保証金(または保証協会)の手続きが終わるまで営業はできません。

新規免許後に

  • 法務局への営業保証金供託 → 免許権者への届出

    または
  • 保証協会へ加入 → 弁済業務保証金分担金の納付 → 免許権者への届出

が終わってはじめて営業の開始ができます。

7.【○✖️クイズ】審査期間について

【○✖️クイズ】宅建業免許の審査期間

Q. 都道府県知事の宅建業免許は、申請してから必ず30日以内に下りる。

8. まとめ

今回のポイント

  • 事務所が1都道府県内なら知事免許、2つ以上の都道府県にまたがる場合は国土交通大臣免許。
  • 審査期間は、知事免許で30〜40日程度が目安(国土交通大臣免許は約100日程度)。
  • 免許が出ても、営業保証金供託 or 保証協会加入 → 届出が終わるまでは営業は不可。
  • 本店・支店計画とスケジュール表を早めに作ることで、ムダな待ち時間を減らせる。

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