建設業許可とは?一般建設業を行政書士がやさしく徹底解説【最新第1話】

「建設業許可は、どんなときに必要なの?」
「500万円の工事は、材料費や消費税も入るの?」
現場でよく聞かれる疑問をここで一度ケリをつけておきましょう。
この記事では、これから建設業を始める人・一人親方・工務店のために
- 建設業許可が必要なケース・不要なケースの考え方
- 「500万円の壁」「軽微な建設工事」の正しい基準
- 一般建設業と特定建設業の違い
- 許可を取るメリット
を2025年2月の改正内容もふまえてやさしく解説します。
建設業許可とは?一言で「一定規模以上の工事のための営業許可」のこと
建設業許可は、一定規模以上の建設工事の完成を請け負う事業者に求められる営業の許可です。
ただし、例外として「軽微な建設工事」だけを請け負う場合には、建設業許可は不要とされています。
この「軽微」の中身が、現場でよく話題になる「500万円の壁」です。
建設業許可が不要な「軽微な建設工事」の基準
建築一式工事以外は「税込500万円未満」なら許可不要
電気工事、内装仕上工事、管工事、塗装工事などの建築一式工事以外の工事は、1件の請負代金(税込)が500万円未満であれば、建設業許可は不要とされています。
ここでの「請負代金」は
- 工事代金(人件費)
- 材料費
- 発注者支給材の市場価格や運送費 等
を合計した税込金額で判断します。
建築一式工事は「1,500万円未満」か「150㎡未満の木造住宅」が基準
建築一式工事については、軽微な工事の基準が別枠です。
次のいずれかに該当する場合、建設業許可は不要とされています。
- 工事1件の請負代金(税込)が1,500万円未満
- 請負代金の額にかかわらず、延べ面積150㎡未満の木造住宅工事
それを超える場合は、建築一式工事の許可が必要になります。
「500万円を超えないように契約を分ける」はアリ?ナシ?
結論から言うと、意図的に分割して500万円未満に見せかけるのはNG(脱法行為)です。
建設業法施行令では、同じ工事を実質1件とみなせるのに、契約だけを2本・3本に分けても、合計額で判断するとされています。国土交通省+1
- 490万円+260万円の2契約(合計750万円)のようなケース
→ 合計で500万円を超えるため、建設業許可が必要
客観的に見て
- 工事場所が違う
- 工期がまったく別
- 工事内容が独立している
などの場合は別工事と認められることもありますが、「許可を取りたくないから分ける」は明確にアウトと意識しておいた方が安全です。
一般建設業と特定建設業の違い(まずは「一般」をベースに理解)
建設業許可には、次の2つがあります。
- 一般建設業許可
- 特定建設業許可
このシリーズでは、中小・個人事業主の多くが対象となる「一般建設業許可」をメインに解説します。
一般建設業許可とは?
- 中小工務店・一人親方がまず目指すスタンダードな許可
- 軽微な工事を超える工事(500万円以上など)を請け負うために必要
- 元請・下請どちらでも、一定規模以上の工事には許可が必要
特定建設業許可とは?(雰囲気だけ)
特定建設業許可は、元請として受注した工事で、大きな金額を下請に発注する場合に必要になる許可です。
2025年2月1日の改正により、特定建設業許可が必要となる下請代金額の基準は以下のようになりました。
| 区分 | 改正前 | 改正後(2025年2月〜) |
|---|---|---|
| 一般の建設工事 | 4,500万円以上の下請代金 | 5,000万円以上の下請代金 |
| 建築一式工事 | 7,000万円以上の下請代金 | 8,000万円以上の下請代金 |
多くの小規模事業者にとっては、まず「一般建設業許可」を取得できれば十分というケースがほとんどです。
建設業許可の29業種をざっくりイメージする
建設業許可は、全29業種(一式工事2+専門工事27)に分かれています。
一式工事(総合工事)
| 業種名 | イメージ |
|---|---|
| 土木一式工事 | 道路・橋・ダムなどの土木工事をトータルで請け負う |
| 建築一式工事 | 住宅・ビル・店舗などの建物をトータルで請け負う |
よくある専門工事の例
| 業種名 | 内容イメージ |
|---|---|
| 大工工事 | 木造建物の骨組みや内装の造作 |
| とび・土工・コンクリート工事 | 足場・基礎・掘削・コンクリート打設など |
| 電気工事 | 配線・照明・受変電設備など |
| 管工事 | 給排水・空調設備など |
| 内装仕上工事 | クロス・床・天井の仕上げ |
| 塗装工事 | 外壁や鉄骨の塗装 |
| 防水工事 | 屋上やベランダの防水処理 |
許可を取るときは、自社がメインで請け負う工事に合った業種で申請することになります。
建設業許可を取るメリット:小さな業者でも「取ってよかった」と感じるポイント
信用力が一気に上がる
- 大手ゼネコン・ハウスメーカー
- 不動産会社・管理会社
- 官公庁・自治体
こうした発注者は、建設業許可のない業者とはそもそも取引しないケースが多いです。
受注できる工事の幅が広がる
- 500万円を超える工事を堂々と受注できる
- 元請としての仕事を取りやすくなる
- 公共工事・入札案件にも挑戦できる
コンプライアンス・内部体制の整備につながる
- 経営業務の管理責任者や営業技術者、財産的基礎などの要件を整理する中で、会社の体制も自然と整っていきます
- 無許可工事による 罰則・信用失墜リスク を減らせる
よくある質問(Q&A)
Q1. 発注者が材料を買って支給した場合は、その材料費も500万円の判定に入る?
A. 入ります。
支給材もその市場価格や運送費を含めて請負金額に算入するのが原則です。
Q2. うちの工事は全部500万円未満だから、建設業許可は取らなくてもいい?
A. 法律上は「軽微な工事」なら無許可でも可能ですが、事業の成長を考えるとマイナスになることも多いです。
- 取引先によっては、「許可の有無」で声を掛ける業者を選別することもある
- 銀行融資・取引信用・入札参加などで不利になる場合も
将来的に工事単価を上げたい・元請仕事を増やしたいなら、早めに許可取得を視野に入れておくほうが有利です。
○✖クイズ|500万円の壁をちゃんと理解できてる?
Q. 建築一式工事以外の工事で
税抜490万円・消費税49万円、合計539万円の工事は、
「税抜は500万円未満だから軽微な建設工事」として建設業許可は不要である。
まとめ:第1話で押さえておくべきポイント
- 建設業許可は、一定規模以上の工事を行うための営業許可
- 軽微な工事の基準は
- 建築一式以外:税込500万円未満
- 建築一式:税込1,500万円未満 or 150㎡未満の木造住宅
- 意図的な契約分割で500万円未満に見せるのはNG
- 多くの中小業者がまず目指すのは「一般建設業許可」
- 許可を取ることで、信用・受注の幅・将来の選択肢が大きく広がる
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第2話:建設業許可が必要な人・いらない人をケース別にチェック!
個人事業主・一人親方・工務店の基準を行政書士が解説


