🏛️ 第1回:入管業務とは?行政書士ができること・できないこと

外国人が日本で働いたり暮らしたりするには、「在留資格」という法的な許可が必要です。
この在留資格の取得・変更・更新などをサポートできるのが、行政書士の入管業務(出入国在留管理庁の業務)です。
入管業務は、単なる書類作成にとどまらず、外国人と日本社会をつなぐ“法務の架け橋”となる重要な仕事です。
入管業務の根拠となる法律
入管業務は、主に次の2つの法律に基づいています。
- 行政書士法:行政書士は、他人の依頼を受けて官公署に提出する書類を作成する専門職です。
→ 出入国在留管理庁に提出する在留資格の申請書類作成は、この範囲に含まれます。 - 入管法(出入国管理及び難民認定法):外国人の入国・在留・退去などを定めた法律です。
行政書士のうち「申請取次資格」を持つ者は、本人に代わって申請書を提出できます。
申請取次行政書士とは
在留資格の申請は原則として本人が入管に出向く必要があります。
しかし、「申請取次行政書士」は出入国在留管理庁への届出を済ませていれば、本人の代わりに申請を行うことができます。
主な対象手続は次のとおりです。
- 在留資格認定証明書交付申請
- 在留資格変更許可申請
- 在留期間更新許可申請
- 永住許可申請
- 在留カード再交付申請 など
この制度は、信頼できる行政書士に限って認められるもので、外国人の出頭負担を減らして手続きを円滑に進めるための仕組みです。
行政書士ができること・できないこと
入管業務は、「法務」「労務」「国際」など複数の分野に関わるため、他士業との線引きが大切です。
| 分野 | 行政書士ができること | 行政書士ができないこと |
|---|---|---|
| 書類作成・提出 | 在留資格の申請書類作成・取次提出 | 弁護士的な交渉や代理行為 |
| 手続相談 | 手続内容や必要書類の説明 | トラブルの代理交渉・訴訟対応 |
| 労務関連 | 就労内容と在留資格の整合性確認 | 雇用問題の解決(社会保険労務士領域) |
| 税務関連 | 経営管理ビザの会社書類作成 | 税務代理・申告(税理士領域) |
行政書士は、「書類の適法性を確保する専門家」であり、法廷対応や交渉代理は行いません。
ただし、他士業と連携して依頼者に最適なサポートを提供することができます。
入管業務の流れ
基本的な業務の流れは次の通りです。
- 依頼・ヒアリング(在留目的や就労内容の確認)
- 要件確認と必要書類の特定
- 書類作成・資料収集
- 申請取次・受付(本人出頭免除)
- 結果通知・在留カード交付
行政書士は、書類を作るだけでなく「法令との整合性を確認し、申請の品質を確保する」役割を担います。
社会的な意義
これから外国人労働者や留学生が増えていくなかで、入管業務は日本社会の国際化を支える重要な基盤です。
一枚の申請書が一人の新しい生活を支える――その責任とやりがいが行政書士の誇りです。
まとめ
- 入管業務は、行政書士法と入管法に基づく専門的な公正業務。
- 申請取次行政書士は、信頼制度のもとで本人に代わって申請を行える。
- 他士業との連携により依頼者に最適なサポートを提供できる。
- 外国人と日本社会の架け橋として、誠実な対応が求められる。

