第9話|財務諸表と工事経歴書をミスなく作るコツ|数字が苦手でも安心の記入ステップ

建設業許可は、許可を取得して終わりではなく、毎期の 決算変更届(事業年度終了後4か月以内) の提出が実務で重要です。

その中心になるのが 財務諸表工事経歴書です。

ここをミスすると、差戻し・補正が増えて、更新や業種追加のタイミングで戸惑うことになります(自治体によっては受付に影響する旨まで明記されています)。

まず押さえる:提出物の位置づけ

  • 工事経歴書は、許可申請時だけでなく、許可取得後も 事業年度終了後4か月以内 に財務諸表等と併せて提出(決算変更届)することとなっています。
  • 様式や記載要領は、建設業法施行規則に基づく様式(地方整備局・都道府県サイトで配布)を使います。

財務諸表の読み方(初心者向け)

建設業の財務諸表は、ざっくりこの順に読むと理解が早いです(細かな勘定科目は税理士作成の決算書によります)。

① まずは損益の“流れ”を掴む(損益計算書)

  • 完成工事高:工事の売上のイメージ
  • 完成工事原価:材料費・外注費・労務費など
  • 完成工事総利益:いわゆる粗利
  • 販売費及び一般管理費(一般管理費):家賃、通信費、役員報酬など
  • 営業利益:本業の強さ

結論:

粗利(完成工事総利益)が出ているか → 一般管理費で利益を食い潰していないか

ここを見るだけでも、会社の体力が見えます。

② 次に“安全性”を見る(貸借対照表)

  • 現預金:資金繰り
  • 売掛金/未収入金:回収が遅いと危険
  • 借入金:返済負担
  • 純資産(自己資本):会社の土台

結論:

現預金が薄い/売掛金が多い/借入が重い 状態ですと、工事が増えても資金繰りで苦しみます。

※財務諸表の様式は施行規則改正で見直しが入ることがあり、自治体でも様式改正の告知が出ます(東京都の案内など)。 東京都都市整備局

工事経歴書の記載例

工事経歴書は、書き方に型があります。

工事経歴書の基本ルール

国交省資料・地方整備局の手引きでは、概ね次の流れで記載することとされています。 国土交通省

  • 元請工事:元請の完成工事高合計の 7割 を超えるまで記載
  • 続けて 残りの元請+下請 を合わせて、全体の完成工事高合計の 7割 を超えるまで記載
  • ただし、一定規模(1,000億円超え)や 軽微な工事10件 を超える部分は省略できる旨が示されています
  • さらに 主な未成工事 を記載(未完成の大きめ案件)

つまり、全部を書くのではなく重要部分をルールに沿って抜き出す型です。

記載例(イメージ)

(※実際の様式は申請先のExcel/PDFを使用。様式配布例を参照。)

  • 工事名:○○マンション改修工事
  • 発注者:○○株式会社(※個人情報配慮の運用がある自治体もあります)
  • 工期:2025/04〜2025/07
  • 請負代金:12,000,000円
  • 工事場所:○○市
  • 工事種類:内装仕上(など)

監査(チェック)が入りやすいポイント

ここでいう「監査」は、自治体の審査・補正や後日の報告徴収・立入検査・監督処分につながる疑われやすいポイントとして整理します。

① 工事経歴書の数字と決算の数字が合っていない

  • 工事経歴書の合計(完成工事高)
  • 財務諸表の完成工事高

    ここがズレると補正が入りやすいです(整合性が最重要)。

② 不自然な工事が並ぶ(実態疑義)

  • 受注先・金額・工期が不自然
  • 工事内容と許可業種が噛み合わない

    → 実態が疑われやすい。

③ 虚偽記載・未届が疑われるとリスクが重い

決算変更届を出さないや虚偽の記載などは、罰則や監督処分のリスクを注意喚起されています。

数字が苦手でも安心の記入ステップ

ステップ1:まずは「工事台帳」を作る

ExcelでOK。

Excelの列は、以下で十分です。

  • 工事名/発注者/場所/工期/請負金額/元請or下請/業種/完成or未成

ステップ2:完成工事を「元請→下請」の順で並べ替え

国交省の整理(元請7割→全体7割→未成)に合わせて抜き出します。

ステップ3:工事経歴書に転記(表記ルール統一)

工期の書き方・住所記載・発注者表記を統一。自治体の記載要領を優先しましょう。

ステップ4:最後に突き合いチェックをする

  • 工事経歴書 合計=完成工事高(決算)
  • 未成工事の記載が漏れていない
  • 許可業種と工事内容が一致している

ステップ5:提出物の最新版様式を作っているか確認

改正された時、自治体は様式改正を告知します(例:北海道では2025年に様式一部改正のお知らせ)。 北海道庁


よくある質問(Q&A)

Q1. 工事が少ない(または実績なし)の年はどう書く?

申請先の記載例(「実績なしの記載例」等)を参照し、所定の書き方で提出します(自治体が例を公開している場合あり)。 大分県ホームページ

Q2. 工事経歴書は“全部”書かないとダメ?

全部ではなく、国交省・地方整備局の整理(7割ルール、軽微工事10件上限等)に沿って記載します。

Q3. 決算変更届を出し忘れるとどうなる?

毎事業年度終了後4か月以内の提出が必要です。

未提出は罰則対象になり得るほか、自治体によっては更新受付に影響する旨が明記されています。

1問○✖️クイズ

【○✖クイズ】工事経歴書の基本ルール

Q. 工事経歴書は、完成工事を「すべて」記載するのが原則であり、7割までの記載でよいというルールはない。

財務諸表と工事経歴書は、書けるかよりも整合性が取れているかで差戻しが決まります。

当事務所では、工事台帳の作り方から7割ルールの抜き出し、決算数字との突き合いや提出物の最新版様式合わせまで実務として一式サポートします。

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