📝 第17回：ビザ再申請を通すためにやるべきこと。不許可後の「理由書」と「補強資料」の作り方【2025年最新】

「今回の申請は不許可です」と言われた場合は、なぜ落ちたのかを究明することが一番大切です。

つまり、「お願いだからもう一度審査してください」という気持ちを伝えるのでは許可は下りません。

入管は

• 何がダメだったのか（前回）
• それをどう直したのか（今回）
• 今回の内容は、事実として証明できるのか
  の３点を客観的に見ます。

この記事では、在留資格の申請が不許可だったあとに再申請する場合の理由書の書き方・補強資料の考え方・やってはいけないNGを整理します。
よくある質問（Q&A）も最後にまとめました。

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📌 この記事の対象

• 技術・人文知識・国際業務（いわゆる就労ビザの代表）
• 家族滞在
• 経営・管理（経営管理ビザ）
• 在留資格更新／在留資格変更／在留資格認定証明書交付申請のいずれも該当

すべて、2025年時点の運用に対応。

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1. 「理由書」とは何か？

「理由書」は、今回の申請を許可していいかを説明する文書です。
ポイントは、「お気持ち」ではなく「事実＋証拠」です。

よくある勘違い：

• 「前回は不運でした。チャンスをください」→ ✖ ダメ
• 「会社はちゃんとしてます」→ ✖ 根拠がない
• 「日本で働きたいです」→ ✖ それはただの動機

入管が確認したいのはこれです：

1. 前回の不許可理由は○○でした
2. その原因は△△でした
3. 今回は□□という形で改善／証明しました
4. だから基準を満たしています

これを構造化して書くのが正しい理由書。

入管は再申請のとき、まず「前回の不許可理由が解消されたか」を確認する運用をとっています。
つまり“解消されていない再申請”は、ほぼ通りません。

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2. 再申請までの全体フロー

不許可が出てから再申請するまでの基本の動きはこの4ステップです。

STEP 1：不許可通知書を受け取る
・まず在留資格が不許可という事実を受け止める
・この通知書は必ず使うのでなくさない

STEP 2：入管で口頭の説明を受ける
・不許可の「詳細な理由」は書面にほとんど書かれていない
・窓口で説明を聞けるのは、原則1回といわれる運用なので必ずメモをとる（録音NG）
・ここで「申請の何が不足だったのか」を具体的に聞く
例：「仕事内容が単純作業と判断されました」「会社の実体が確認できませんでした」「収入が安定していないと評価されました」

STEP 3：原因を特定する
・その問題が「仕事内容なのか」「生活基盤なのか」「会社の体制なのか」など分類する
・ここがズレてると理由書を書いても申請がとおらない

STEP 4：改善（証拠づくり）→理由書＋補強書類をセットで再申請
・“心情説明だけの書面”は意味がないと実務でも明言されています
・入管は「状況が改善した事実」を見ます

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3. 不許可理由はこの３タイプに分類できる

ほぼすべての不許可理由は、このどれか（または複合）に入ります。

① 該当性の問題

→ あなたがやろうとしている活動が在留資格に合っていないと判断されたケース。
・例：技術・人文知識・国際業務なのに主な仕事がホール接客や配膳など「単純労働」と評価された。

② 基準適合性の問題

→ 学歴・職歴・会社の体制など在留資格ごとに決められた基準を満たしていないと見られたケース。
・例：経営・管理で「常勤職員がいない」「事業の実体の裏付けが弱い」など最近特に厳しく見られているポイント。

③ 相当性の問題

→ 「信用できる案件か」「日本の在留管理の観点から妥当か」という総合判断。
・例：過去の在留中に違反歴がある、納税していない、書類同士が食い違っている、本人の説明と会社側の説明が違う等。

この分類は、理由書の構成そのものになります。
つまり「どのタイプだったか」によって、書くべき内容と添付すべき書類が変わってきます。

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4. タイプ別：「理由書」と「補強資料」の作り方

4-1. ① 該当性の問題タイプ

典型：技術・人文知識・国際業務（いわゆる技人国）で「単純作業では？」と疑われたケース。

【理由書で説明すべきこと】

• その職務の中心は知的・専門業務であること
• 専門業務と補助業務の割合（例：分析80%／接客20% など）
• あなたの知識やスキルが実際の業務で必要とされている具体例（ツール名や業務プロセスまで書く）

【一緒に出す補強資料例】

• 職務内容説明書（Job Description）
• 業務フロー図、担当業務の比率表
• 大学や専門学校のシラバス（授業計画）・成績証明書と業務内容の対応表
  → 何を学んで、何をどう使うのかを線でつなぐ
• 会社側の説明書（雇用主側の「業務は専門業務が主です」という文書）

💡 ポイント
「やります」「できます」ではなく「この仕事はこういう理由で専門業務です」と客観的に書く。

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4-2. ② 基準適合性の問題タイプ

典型：

• 経営・管理ビザで「会社に実体がない」「常勤職員が雇われていない」など。2025年10月の基準強化後はここが非常に重いです。
• 家族滞在で「生活を維持できるだけの扶養能力が確認できない」。

【理由書で説明すべきこと】

• 不足していると指摘された要素（例：常勤職員、安定収入、納税状況）が今は満たされていること
• それが継続性のあるものであること（安定収入が短期の“見せ金”ではないこと）
• 今回の申請時点で要件を満たしていること（過去ではなく「今」）

【一緒に出す補強資料例】

• 雇用契約書・社会保険加入状況（経営・管理の常勤職員）
• 事業所賃貸借契約書・営業許可・受注契約書など会社が実際に動いている証拠
• 在職証明書・課税証明書・源泉徴収票・給与明細などの扶養能力を示す資料（家族滞在）
• 住居契約書（家族で同居できる住居があることの証明）

💡 ポイント
“これから頑張ります”では弱い。
「すでに準備済み」「すでに雇用済み」「すでに支払い済み」という“完了している事実”を出す。

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4-3. ③ 相当性の問題タイプ

典型：

• 過去にオーバーステイぎみだった。更新を放置した。無許可就労が疑われている
• 書類の整合性にズレがあって「信用性」が低いと判断された
  こういう場合は、入管は「このまま在留させて本当に大丈夫？」という観点で見ています。

【理由書で説明すべきこと】

• 事実関係を認める（ごまかさない）
• その状況がなぜ起きたのか（例：病気、雇用主側の管理不足、制度理解の欠如など）
• 再発防止策が現実的に機能していること
  例：「労務管理体制を会社側で整備した」「今後の勤務時間を週28時間以内に管理する仕組みを導入した」など

【一緒に出す補強資料例】

• 会社側の管理体制の改善メモ／誓約書
• シフト管理表・出勤簿
• 税や社会保険料を納付済みであることの証明
• 反省文だけではなく、改善済みであることを客観的に示す書面

💡 ポイント
「すみませんでした」だけだと弱い。
「すでに是正済みで同じことは起きない」ことを書面で言えるかが勝負です。

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5. よくある失敗とリスク

• 「友だちの理由書をコピペ」
  → 完全アウト。入管は事案ごとに審査しており、他人のストーリーでは整合性がとれず、むしろ不信感を招きます。
• 「気持ちだけの手紙」
  → “日本で頑張りたい”は大事だけれど、それだけでは審査基準（該当性・基準適合性・相当性）に適合しません。
• 「前回と同じ書類をそのまま再提出」
  → 入管側は“前回の不許可理由が解消されたか”をチェックします。同じものを出しても結論は変わらないので、審査期間だけ長引いてダメになることが多いです。
• 「時間切れになる」
  → 在留期限が迫っているやすでに“出国準備”になっている場合は、動きが遅いと退去強制（強制送還）に進む可能性があります。
  
  急ぎの案件は一旦出国→別ルート（在留資格認定証明書から再スタート）という選択肢になることがあります。

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6. Q&A（よくある質問）

Q1. 不許可のあと、すぐ再申請していいですか？
→ 内容が同じならおすすめできません。
　むしろ、一度入管で不許可理由を口頭で確認してから「改善済みの証拠＋理由書」を整えて再申請するほうが通りやすいと考えます。

Q2. 理由書って日本語で書かないとダメ？
→ 原則は日本語。日本語が難しい場合は、内容をヒアリングして専門家が日本語化する例が多いです。
　本人の母語のメモをもとに行政書士が整える、という形もあります。

Q3. 会社（雇用主）にも書いてもらうべき？
→ はい。特に「業務内容が専門的かどうか」「会社の実体があるか」が争点の場合は、会社側の説明・体制図・雇用証明は非常に重要です。

Q4. 出国したほうが有利なことは本当にあるんですか？
→ あります。
　たとえば、日本国内での変更申請や更新申請では“これまでの素行・管理状況”まで審査される一方でいったん出国して海外から「在留資格認定証明書交付申請」で入り直す場合は、その一部（いわゆる狭い意味での相当性）が問われにくいことがあります。状況次第では、こちらが現実的というケースがあります。

Q5. 行政書士に頼む意味って何？
→ 不許可案件は「どこで落ちたか」を正しく聞き出すところからスタートします。
　この聞き取り（ヒアリング）と改善策の設計、証拠のまとめ方、理由書の構成までを一気通貫でやるのがプロの役割です。

💬 お問い合わせは → きりゅう行政書士事務所（公式）

○✖️クイズ

【○✖️】不許可になったあとに、同じ書類をもう一回出せば審査が通ることがある。

○ 正しい ✖️ 誤り

不正解

入管はまず「前回の不許可理由が解消されたか」を確認します。同じ資料を出しても評価は変わらないので、基本的には通りません。改善と証拠が必須です。

正解

正解。再申請は“気合い”ではなく“改善＋証拠”です。