【図解】会社設立に必要な書類一覧と登記までのスケジュール【第3回】

「定款はできた。次は何をそろえればいい?」

この記事では、定款作成・認証の後に必要な設立書類だれが作るか(本人/行政書士/司法書士)まで含めて一覧化します。

さらに、資本金の払込み→登記申請→登記完了までの時系列を最短ルートで迷わないように解説します。


最後に提出後にやることチェックリスト
も付けました。


1. 設立に必要な主な書類(一覧表)

株式会社を前提に記載(合同会社は後半で相違点を解説)。

書類名目的/内容作成主体ワンポイント
定款(認証済)会社の基本ルール行政書士サポート可/発起人目的欄は許認可・口座審査を見据え調整済みがベスト
発起人決定書商号・本店・役員・資本金など最終決定発起人決めた内容を定款と矛盾させないこと
役員就任承諾書取締役・代表取締役が就任を承諾就任者本人個人実印・印鑑証明と紐づけを
取締役会議事録 等機関設計に応じた就任決議取締役等取締役1名会社は省略構成あり
代表取締役選定書代表の選定手続取締役取締役会設置の有無で書式が変わる
払込証明(残高証明等)資本金を払込んだ証明発起人(代表)発起人個人口座へ入金→通帳コピー等で立証する
設立登記申請書法務局への申請本体司法書士(代理)/本人添付書類の漏れのよる“差戻し”が多い
登記用委任状司法書士に登記を委任代表取締役登記は司法書士の専門領域
印鑑届書(会社実印)法務局に会社実印を登録代表取締役印鑑カード発行で証明書取得が簡単に

※登記提出書類は法務局の様式・要件に合わせる。登記申請代理は、司法書士の職域ですのでここから先は司法書士と連携するとミスがゼロに。


2. 資本金の「払込証明」の作り方

  1. 代表者の個人口座を用意
  2. 発起人(出資者)が各自の名義で資本金額を入金
  3. 通帳(表紙・1ページ目・入金記録のページ)コピーまたは残高証明をセット
  4. 会社名義口座は登記後に開設するのが一般的(=先に個人口座で立証が原則)

つまずきがちポイント

  • 会社名義口座へ先に入れようとして詰まる(登記前は原則不可)
  • 名義違いの入金で「だれの出資かわからない」状態になる
  • 日付のわかるコピーが不足

3. 時系列で理解する:定款後〜登記完了まで(最短ルート)

Day 0:定款認証(株式会社)
Day 1–2:発起人決定書・就任承諾書・選定書を作成/押印
Day 1–3:資本金の払い込み→証明書類をセット
Day 2–4:司法書士へ書類一式を引き渡し・最終チェック
Day 3–5:法務局に設立登記申請(この日が“会社の誕生日”)
+1〜2週:登記完了→登記事項証明書・印鑑証明書の取得

※法務局の処理日数は、時期・混雑で変動します。余裕を見て“完了まで2週間”の設計が安全。


4. 合同会社の場合の主な相違点

  • 定款認証が不要(公証役場の手続なし)
  • 機関設計がシンプル(社員=出資者が業務執行)
  • 登記添付の構成が株式会社と異なる(社員総会議事録等)
  • ただし目的欄の重要性は同じ:許認可・口座・取引先審査に直結します

5. 提出後に“すぐ”やるべきことチェックリスト

  • 会社実印の登録(印鑑カード受取)
  • 銀行口座開設(定款・登記簿・印鑑証明・事業計画)
  • 税務署・都道府県税事務所へ各種届出(第4回で詳述)
  • 年金事務所/労働基準監督署/ハローワーク(従業員を雇う場合)
  • 必要な許認可の事前確認・申請(建設業・古物商・飲食など)
  • 社内規程・契約書ひな形の整備(第5回で詳述)

6. つまずきやすい“あるある”と回避策

  • 目的欄と実際の事業がズレている
    → 設立前に“最初にやる事業+近い将来やる事業”を洗い出して表現を整えましょう
  • 払い込みが証明できない
    → 個人口座への入金→通帳コピー(該当ページすべて)で“誰がいくら”を可視化
  • 書類の矛盾(住所・日付・氏名表記)
    → すべての書面を“1枚の台帳”で突合(読み・表記ゆれを統一)
  • 登記提出の押印漏れ
    → 司法書士の最終チェックを通す(自己流でやると差戻しになります)

7. よくある質問(Q&A)

Q1. 登記は自分でできますか?
→ 可能ですが、登記申請は司法書士の専門領域です。初回は、差戻しや補正で日数が延びがちです。

行政書士は、定款・設立書類の設計と許認可見通しを、司法書士は登記本体を担当が安心。

Q2. 資本金はいくらからが良い?
→ 法律上の下限は設けられていませんが、口座開設・信用・許認可を考えると事業規模に見合う額が望ましい。
補助金や融資予定がある場合は、自己資金比率の観点も要検討しましょう。

Q3. 役員の住所は自宅でもいい?
→ 可能。ただし登記簿に住所が記載されることを踏まえてプライバシー配慮を。

バーチャルオフィス使用時は、口座審査や許認可での可否を事前確認。

⚠️役員(代表取締役)の住所非表示措置が可能となりましたが、金融機関等から融資を受けるにあたり不都合が生じたりする等が想定されます。
この申し出をする際はしっかり検討しましょう。

Q4. 払い込みは1回でないとダメ?
→ 一般に設立時点の払い込みを明確化できれば可。複数回入金の場合は、誰の出資か・合計額・日付の説明資料を整えましょう。

Q5. 合同会社→株式会社への変更は後でできる?
→ 可能(組織変更)。ただし手続・コストがかかるため、今の事業の見せ方と2〜3年先の採用・資金調達を見据えて選択をしてください。


8. まとめ(第3回のおさらい)

  • 設立書類は“誰が作るか”まで決めて逆算する
  • 払い込み証明は、代表個人口座→通帳コピーで立証が定番
  • 登記は司法書士の領域。行政書士は、定款・目的・許認可見通しを立てる
  • 提出後は税務・社保・口座・許認可を一気に着手しよう

次回(第4回)は「設立後に必要な届出・初期手続き」を網羅。税務署・年金・銀行・許認可まで、実務タイムラインで解説します。

9. ○✖️クイズ

【○✖️】会社名義の銀行口座に資本金を入金して、その明細を“設立時の払込証明”として出すのが正しい。
不正解
登記前は会社名義口座が作れません。一般に「代表者個人口座」に出資を入金し、通帳コピー等で払込を立証します。
正解
正解。設立登記前は会社名義口座がないため、発起人(代表)個人口座に出資を入金→通帳コピー等で証明するのが定番です。

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