【保存版】行政書士が教える会社設立の流れと必要書類をわかりやすく解説【第1回】

「会社を設立しよう」と思ったとき、最初の一歩でつまずく方がいらっしゃいます。

  • 何から始めるのか?
  • どの専門家に頼めばいいのか?
  • 費用はいくら・どれくらい時間がかかる?
  • 株式会社?合同会社?どっちがいいのかな?

安心してください。
会社設立の流れは、大きく分けると5ステップしかありません。
しかも、「誰がやる手続きか(ご自身/行政書士/司法書士/税理士)」がはっきり分かれています。

この記事では、会社設立の全体像をわかりやすく整理して、実際に用意すべき書類・費用・期間のイメージを解説します。

次回(第2回)は「定款」を深掘りしますが、まずは全体マップを頭に入れておきましょう。


1. 会社設立の基本ステップ(5ステップで全体像をつかむ)

会社をつくる流れは、この5つです。

  1. 会社の基本事項を決める
    • 商号(会社名)
    • 事業目的(会社として何をやっていいか)
    • 本店所在地(どこに会社を置くか)
    • 資本金
    • 役員(代表取締役・社員など)
  2. 定款(会社のルール)を作成する
    • ここは行政書士が深く関わる領域です
    • 株式会社の場合は、公証役場で認証が必要となります
  3. 出資金(資本金)を払い込む
    • 代表者個人の口座に入金して「払込み証明」を作るのが一般的
  4. 設立登記を申請する
    • 法務局に登記を申請
    • このタイミングで会社が“法的に誕生”する
    • 登記申請は司法書士が扱う領域(行政書士は登記申請代理はできません)
  5. 税務署・年金・銀行など各種手続きを進める
    • 会社が動ける状態に整えるフェーズ(第4回で詳しく扱います)

👀 ポイント
会社を作る=登記をすると成立。そこに至るまでに“定款の設計”と“書類の整備”が必要で、これらの手続きでつまづく場合があります。

次回以降、第2回・第3回の内容が大事です。


2. 株式会社と合同会社の違い(どちらを作るべき?)

「株式会社と合同会社、どちらで設立するのがいいのですか?」は100%聞かれる質問です。
ここでの判断ポイントは、「見せ方」と「コスト」と「意思決定の形」。

株式会社の特徴

  • 対外的な信用力が高い(取引先や金融機関の見え方)
  • 代表取締役など“肩書き”のわかりやすさがある
  • 定款を公証役場で認証する必要がある(費用負担あり)
  • 役員の任期、株主総会などの社内手続きがやや多め

こんな人に向いてる:

  • 取引先が大手、自治体、金融機関の場合
  • 将来、人を採用したい
  • 出資を受ける想定がある

合同会社(LLC型)の特徴

  • 設立コストが比較的低い
  • 決算公告(決算内容を公表する義務)がない
  • 役員任期がなくて、意思決定が柔らかい(オーナー主導で動きやすい
  • 外から見て「小規模・内輪の会社」という印象で見られることもある

こんな人に向いてる:

  • 小規模スタート・スモールビジネス
  • 副業からの法人成り
  • 外部投資より自分でまわしていくタイプの事業

🔎 まとめると

  • 信用・採用・資金調達→「株式会社」寄り
  • スピード・コスト・柔軟さ→「合同会社」寄り
    というイメージでOKです。

※許認可業種(建設業・古物商・産廃など)の場合は、「会社形態」「役員の欠格要件」「資本金」など別の条件があることがあります。ここは第6回でしっかり触れます。


3. 行政書士が関わるポイントと他士業との分担

会社設立に関する役割分担は、とても大事なことです。会社設立は「一人で全部できる」わけではないからです。

それぞれに専門分野があります。

行政書士が対応できるところ

  • 事業目的(定款:会社は何をするのかの部分)の整理
    → 許認可に通る書き方にする
  • 定款(案)の作成、電子定款のサポート
  • 許認可が必要な業種かどうかの事前確認
    → 建設業、古物商、飲食店営業許可などの申請で会社設立後に「目的に入ってないから許可が出ません」という状況が起こりうる

司法書士が対応するところ

  • 設立登記(法務局への登記申請)
    → ここは行政書士にはできない。司法書士の専門業務
  • 登記完了後の登記事項証明書・印鑑証明書の取得の代行

税理士が対応するところ

  • 設立後の税務署への届出
  • 会計・税務顧問(経理ルールの設計)

社会保険労務士が対応するところ

  • 社会保険・労働保険の手続き(人を雇用する場合は必須)

🪄 つまり:
会社設立=「定款と構成を固める」→「登記する」→「届出と運用を整える」
という流れの中で、行政書士は、特に最初の部分(第2回・第3回領域)に強いです。

ここを正しく組み立てていくと、のちの手続きや運営がスムーズになっていきます。


4. 会社設立にかかる期間と費用の目安

これはよく聞かれることですので、全体像として押さえておきましょう。

標準的な期間イメージ(株式会社の例)

  • 会社の基本事項の決定:数日〜1週間
  • 定款の作成と認証:1〜3営業日程度(公証役場の予約状況によるが、電子定款なら即日も可能)
  • 資本金の払い込み:即日〜1日(銀行口座への入金)
  • 登記申請:書類が揃えば当日に提出可能
  • 登記完了:おおむね1〜2週間程度(法務局の処理状況による)

早ければ2〜3週間くらいで会社の登記が完了することができます。
一方で、許認可がからむ業種は事前準備でもっと時間がかかります。

費用イメージ

  • 定款認証手数料(株式会社のみ)
  • 登録免許税(登記のときにかかる国への税)
  • 専門家への報酬(定款・登記などのサポート費用)
  • 資本金(これは会社のお金なので費用ではなく資本)

💡 ポイント
「電子定款」にすると印紙代がかからないため、紙の定款よりも4万円コストが下がります。
これをどう使うかは第2回でくわしく解説するところです。


5. よくある失敗例:目的(事業内容)の書き方に注意

いちばん多いトラブルがコレです。
「とりあえず“コンサルティング業”って書いとけばいいですよね?」は危険。

なぜかというと:

  • 定款の「目的」に書いていない事業は、その会社の正式な業務として認められない扱いになる
  • 銀行口座の審査で「何をしてる会社かわからない」と判断されることがある
  • 許認可の審査で「そもそもその業務が目的に入ってませんよね?」と言われて不許可になるケースも

つまり「将来やる可能性のある事業」をある程度は目的として入れておくべき。
逆に、まったく関係ない目的を大量に並べすぎると「実態のない会社」と見られることもあるのでバランスが必要。

この目的欄の設計こそが行政書士に相談されるポイントです。


まとめ(第1回のおさらい)

  • 会社設立は5ステップ。「決める→定款→払い込み→登記→届出」
  • 株式会社と合同会社は信用・コスト・意思決定の違い。将来の見せ方で選ぼう
  • 行政書士は「定款」「目的」「許認可」を固めるのが強み
  • 登記は司法書士、税務は税理士、社会保険は社労士。それぞれ役割が分かれている
  • 事業目的の書き方を甘く見ていると、口座開設・許認可・融資等で詰まる可能性が

このシリーズでは、全6回+番外編で「会社を作る前〜作ったあと」まで完全にカバーしていきます。
次は、最もトラブルになりやすい「定款」の話に入ります。

会社設立のご相談(定款・目的のチェック、許認可が必要な業種の確認など)は、事前相談を受け付けています。
「自分のケースで何が必要かだけ聞きたい」という段階でも大丈夫です。

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