🧾 会社運営で必要な社内文書・契約書まとめ|トラブルを防ぐ行政書士の視点【第5回】

会社を運営していく上で契約書や社内文書の整備が不可欠です。

取引先や社員等と約束を「書面で残す」ことは、信頼を高めるだけではなく、トラブルを予防する確実な方法です。

この記事では、行政書士の視点から

  • どんな社内文書・契約書が必要?
  • 書類に記載すべき基本項目は?
  • 保存・管理のポイント

    をわかりやすく整理します。

🧱 契約書や社内文書を整える意味

契約は、口頭でも成立します(民法第522条)。

しかし、口頭では「言った・言わない」になり、後で立証できません。

契約書を作る目的は、次の3つです。

  1. 約束した内容を明確にする
  2. 証拠として残す
  3. お互いの信頼関係を可視化する

法的なお守りだけではなく、「事業を守る仕組み」として整備しておくことが大切です。

参考:(契約の成立と方式)
第五百二十二条 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。


📋 必要となる主な社内文書・契約書一覧

書類名タイミング目的・ポイント
株主総会議事録・取締役会議事録重要な決定を行うとき日時・出席者・議題・決議内容を正確に記録
秘密保持契約(NDA)取引・打ち合わせ前情報の範囲・目的・期間・違反時の措置を明確に
業務委託契約書/雇用契約書外注・採用時義務・報酬・契約期間・解除条件を具体的に
就業規則・労働条件通知書社員を雇用するとき労働時間・休日・給与・解雇条件を明示(10人以上は届出義務あり)

💬 ポイント
「うちは小規模でやってるから要らない」と思われがちですが、トラブルはどんな規模の会社にも起こり得ます。

最初から整えておく方が、のちに修正するよりもラクです。


⚖️ 契約書を作成する際の10のチェックポイント

  1. 契約当事者の正式名称(法人名・代表者名)
  2. 契約目的・業務内容
  3. 契約期間(開始日・終了日)
  4. 報酬・支払時期・方法
  5. 双方の権利・義務
  6. 解除条件・違約金の有無
  7. 秘密保持・情報管理の方法
  8. 印紙税・電子契約対応(電子契約は印紙不要の場合あり)
  9. 署名・記名押印(法人契約では代表者名記名が基本)
  10. 契約書の保存期間・管理方法(電子保存も可、要件あり)

💡 最近は「クラウドサイン」「GMOサイン」などの電子契約も普及しています。

印紙税が不要になるなどコスト面でもメリットがありますが、保存要件(改ざん防止・検索性)を満たすことが重要です。

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🚨 実務で多いトラブル事例と回避策

よくある失敗リスク対策
雇用契約書を交わしていない労働条件の証拠がなくトラブルに発展します労働条件通知書を必ず交付
契約書が古いままで更新してない実態と内容がズレて無効リスク年1回は見直す
電子契約を導入したが印紙税誤認税務調査で追徴の可能性契約区分と印紙税法の確認
秘密保持契約(NDA)が形だけ守秘義務の範囲が曖昧情報の範囲・返却義務を具体的に

💬 よくある質問(Q&A)

Q1. 契約書は紙で作らないと無効?

→ いいえ。契約は口頭でも成立します。ただし、書面にすることで証拠力が残り、後の紛争防止に役立ちます。

Q2. テンプレート契約書をそのまま使って大丈夫?

→ 要注意です。テンプレは“型”に過ぎません。事業内容や報酬体系に合わせて修正しましょう。

Q3. 印紙税はどんな契約書に必要?

→ 請負・売買など金額が確定する契約書は課税対象です。電子契約なら印紙不要の場合があります。

Q4. 就業規則は社員10人未満なら不要?

→ 義務ではありません。しかし、トラブル防止・信頼性向上のために作成しておくのが望ましいです。

Q5. 契約書をクラウド保存してもいい?

→ OKです。ただし「改ざん防止」「検索性」「閲覧制限」など電子帳簿保存法の要件を満たす必要があります。

✏️ ○✖️クイズ(コピペOK)

【○✖️】契約書は紙で作らないと法的に有効にならない。
不正解
契約は口頭でも成立します。書面は「証拠」としての意味が大きいです。
正解
正解。電子契約でも有効です。クラウドサインなどを使えば印紙税も不要になります。

🏁 まとめ

  • 契約書・社内文書は「トラブルを防止に役立つ盾」。
  • 契約の内容・期間・支払条件・秘密保持・解除条項をしっかり明記しましょう。
  • 電子契約を使うことで、コスト削減とスピード化が可能です。
  • 小規模経営でも「整えておく」ことが信頼構築の第一歩になります。

次回(第6回)は「許認可と会社設立の関係」。

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