【行政書士が解説】養子縁組と相続の関係|実子との違い・代襲相続をわかりやすく解説(第12回)

「孫を養子にしたら相続税の節税ができる」

「連れ子と自分の子どもの相続分は同じになるの?」

養子縁組と相続の関係は、誤解や噂が多い分野です。

しかし、民法上は「養子は原則として実子と同じ相続権」を持ちます。

この記事では

  • 養子の種類と相続権の違い
  • 実子・養子・連れ子の扱い
  • 代襲相続との関係

    をできるだけ専門用語を噛み砕いて解説します。

最後に Q&A と⭕✖クイズも載せていますので、実務のイメージづくりに役立ててください。


1. 養子縁組の基本|2つのタイプ

養子縁組には、大きく分けて次の2種類があります。

① 普通養子縁組

  • 一般的な養子縁組
  • 実親との親子関係もそのまま残る
  • 養親と実親、両方の相続人になりうる

② 特別養子縁組

  • 主に児童福祉の観点から設けられた制度
  • 家庭裁判所の審判が必要
  • 実親との親子関係は終了して養親とのみ親子関係を持つ
  • 相続は養親側だけ

👉 一般的な「養子」として相続でよく問題にあがるのは、「普通養子縁組」です。


2. 養子の相続分|実子と同じ?違う?

結論からいいますと

✅ 普通養子は、法定相続分の上では実子と同じ扱い

です(民法887条以下)。

例:配偶者+子ども2人(うち1人が養子)の場合

  • 配偶者:1/2
  • 子A(実子):1/4
  • 子B(養子):1/4

👉 「実子だから1/4、養子だから1/8」などの区別はありません。

👉 養子も実子と同じ“相続人の子”とされます

特別養子の場合

  • 実親との相続関係はなくなる
  • 養親の子としてのみ、他の子どもと同じ法定相続分を持つ

3. 連れ子と養子の違いに注意!

ここが実務でもっとも誤解が多いポイントです。

✅ 「連れ子」は、そのままでは相続人にならない

例えば、夫が再婚して妻に前夫との子がいるケース。

  • 再婚相手の「連れ子」を養子にしていない場合

    → 連れ子は、再婚した夫の 法定相続人にはならない
  • 再婚相手の「連れ子」を養子にした場合

    → 養子は「子」として、実子と同様に相続権を持つ

👉 行政書士としては、連れ子にも確実に財産を残したいという相談には

  • 養子縁組(+遺言)
  • 遺言書のみでの指定

    などを組み合わせて提案していくことになります。

4. 養子と代襲相続(だいしゅうそうぞく)の関係

代襲相続は、「本来相続人となるべき人が被相続人より先に死亡していた場合に、その子が代わりに相続人となる制度」です(民法第887条2項など)。

✔ 養子にも代襲相続はありうる

養子も民法上は「子」なので

  • 養子が被相続人より先に死亡していた
  • その養子に子どもがいる

→ この子どもが 代襲相続人 になるケースがあります。養子の実子である子(養子縁組後に生まれた子、または養子縁組前に生まれた子で

養子と養親の間に親族関係が生じている場合に限る)は代襲相続人となり得ます

✔ 特別養子の代襲相続はどうなる?

特別養子は、実親との親子関係が原則終了しているため

  • 養親側については「子」として代襲相続の可能性があり
  • 実親側についてはそもそも「子」ではないため代襲相続の問題は生じません

5. 養子と相続税の関係(概要のみ)

税金は税理士の専門領域ですが、行政書士として「制度の枠組み」を説明することはできます。

日本の相続税法には「法定相続人の数」に養子が関係してくるルールがあります(相続税法上の“みなし相続人”の数の制限など)。

ただし

  • 養子の数には 上限 がある
  • 相続税対策目的だけの養子縁組は、否認されるリスクも指摘されています

など慎重な検討が必要です。

具体的な税額や節税効果については、税理士との連携が前提になります。

👉 税額シミュレーション等は税理士にご相談ください。


6. 行政書士がサポートできること

養子縁組と相続に関して、行政書士が関われる主な業務は:

  • 家族関係・相続関係の整理(相続関係説明図など)
  • 遺言書の作成サポート(誰にどのように残すかの設計)
  • 相続人の範囲を踏まえた遺産分割協議書の作成
  • 養子縁組を前提とした生前対策のアドバイス(制度の説明)
  • 税理士・司法書士・弁護士との連携窓口

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7. よくある質問(Q&A)

Q1. 養子は実子より相続分が少なくなりますか?

→ いいえ、民法上は普通養子・特別養子ともに「子」として、相続分は実子と同じ割合です。

 ただし、遺言によって配分を変えることは可能です。


Q2. 連れ子と養子の違いは?

→ 「連れ子」は再婚相手の子というだけで、相続上は何の関係もない他人です。

 養子縁組をして初めて「子」としての相続権が生じます。


Q3. 養子をとると実子の取り分は減りますか?

→ 法定相続分としては、子の数が増える分、1人あたりの分け前は減ります

 例えば、相続人子1人→子2人になれば、各相続分は1/1→1/2になります。


Q4. 養子縁組のあと、遺言で連れ子だけ多く残すことはできますか?

→ 可能です。遺言で相続分を指定できます。

 ただし、他の相続人(配偶者・子)には「遺留分」があるために完全にゼロにすることは原則できません(遺留分侵害額請求の対象となります)。

⭕✖クイズ

【○✖️クイズ】養子と相続について

Q. 普通養子は、実子とは相続分が異なり、少なくなることが法律で決まっている。

答え:✖️(バツ)

普通養子は民法上「子」として扱われ、実子と同じ法定相続分を持ちます。 養子だからといって、法律上、自動的に相続分が少なくなることはありません。

9. 次回予定(第13回)

第13回:相続と不動産の関係|名義変更・売却・共有のリスク

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