【行政書士が解説】遺産分割協議書の書き方と実例|そのまま使える基本フォーマット(第11回)

「遺産分割協議書を作りましょう」といきなり言われても、何を書けばいいのか?書き方を間違えるとどうなるのか ?不安になりますよね。

遺産分割協議書は、相続人全員が合意した内容を証拠として残すための 公式な合意書”です。

この記事では、行政書士の視点から

  • 遺産分割協議書に必ず入れるべき項目
  • 不動産・預貯金の書き方のポイント
  • そのまま使える「基本フォーマット」

    をわかりやすく解説します。

最後に Q&Aと⭕✖クイズ も用意しました。実務のイメージづくりに使ってください。


1. 遺産分割協議書はなぜ必要か?

遺産分割協議書は、次のような場面で必要になります。

  • 不動産の相続登記(司法書士の業務)
  • 預貯金の払戻し・名義変更
  • 有価証券・投資信託の名義変更
  • 相続税の申告の根拠資料 など

口頭の合意だけ ですと

  • あとで「言った/言わない」の争いになりやすい
  • 金融機関の手続きが進まない

    ために必ず書面で残すことが大切です。

2. 基本構成(全体の箱をイメージ)

遺産分割協議書の骨組みは、ほぼ共通です。

  1. タイトル(遺産分割協議書)
  2. 被相続人の情報
  3. 相続人の情報(住所・氏名)
  4. 各財産ごとの分け方
  5. 付言(今後争わない等の確認)
  6. 日付
  7. 相続人全員の署名押印

👉 ポイント

  • 相続人全員が署名しないと無効になる
  • 実印+印鑑証明書が求められる(金融機関、不動産登記手続きなど)

3. そのまま使える「基本ひな形」

📝 基本フォーマット(テキスト版)

遺産分割協議書

被相続人 住所 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号
氏名 山田 太郎
令和〇年〇月〇日死亡

上記被相続人山田太郎の相続人らは、その遺産の分割について、次のとおり協議し合意した。

第1条(不動産)
1.別紙不動産目録記載の不動産は、相続人 山田花子が単独で取得する。

第2条(預貯金)
1.別紙預貯金目録記載のうち、〇〇銀行〇〇支店普通預金口座(口座番号〇〇〇〇)は相続人 山田次郎が取得する。
2.別紙預貯金目録記載のうち、△△銀行△△支店普通預金口座(口座番号△△△△)は相続人 山田花子が取得する。

第3条(その他の動産等)
1.家財道具その他一切の動産は、相続人 山田花子が取得する。

第4条(清算条項)
相続人らは、本協議書に定めるほか、相続に関して何らの債権債務が存在しないことを相互に確認し、今後、相続に関して一切の異議申立てを行わない。

以上のとおり協議が成立したので、本書を〇通作成し、各自署名押印のうえ、各1通を保有する。

令和〇年〇月〇日

相続人 住所 〇〇県〇〇市〇〇
氏名 山田花子 ㊞

相続人 住所 〇〇県〇〇市〇〇
氏名 山田次郎 ㊞

※実務では、ここに 別紙「不動産目録」「預貯金目録」 を付けることが多い。


4. 不動産・預金の書き方のポイント

✔ 不動産(目録の例)

【不動産目録】
1.所 在  〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目
  地 番  〇番〇
  地 目  宅地
  地 積  〇〇・〇〇平方メートル

2.所 在  〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇
  家屋番号 〇番〇
  種 類  居宅
  構 造  木造〇階建
  床面積  〇階 〇〇・〇〇平方メートル

👉 登記簿の「表示」欄を写すイメージで。

👉 細かい表記ミスは、実務上は登記簿上の記載が優先されることがありますが、ミスがないよう正確に記載しましょう。


✔ 預貯金(目録の例)

【預貯金目録】
1.金融機関名 〇〇銀行〇〇支店
  口座種別  普通預金
  口座番号  〇〇〇〇〇〇
  口座名義人 山田太郎

2.金融機関名 △△信用金庫△△支店
  口座種別  定期預金
  口座番号  △△△△△△
  口座名義人 山田太郎

👉 金融機関によっては「残高証明書」の日付時点で評価するので、協議書の日付と合わせる意識が大切です。


5. 実務での注意点(行政書士目線)

  • 相続人の 住所・氏名は住民票・戸籍どおりに 記載しましょう
  • 本人が署名できない場合は「代筆」「記名押印」の扱いに注意
  • 印鑑は 実印が望ましい(銀行や司法書士の手続きで必要)
  • 協議書は、 複数通作成して相続人それぞれが保管する

👉 行政書士としては、

  • 戸籍収集
  • 財産目録作成
  • 遺産分割協議書案の作成
  • 説明書類の整理

    までが主な業務。

不動産の相続登記は、 司法書士の業務 であり行政書士は申請代理を行えません。


6. よくある質問(Q&A)

Q1. 遺産分割協議書は手書きじゃないとダメ?

→ いいえ、Wordなどで作成して問題ありません。

 ただし、最後の署名は自署(本人の手書き) を推奨します。


Q2. 実印じゃないと無効になりますか?

→ 法律上は認め印でも有効とされます。

 しかし、金融機関や司法書士は実印+印鑑証明書を求めてきますので、実務上は実印が安心です。


Q3. 相続人の一部だけが署名した協議書は有効?

相続人の一部だけが署名した遺産分割協議書原則無効です。


Q4. 後から内容を変更したくなった場合は?

→ 新たに遺産分割協議をやり直し、新しい協議書を作成します。

 修正ペンや加筆はトラブルのもとになるので避けましょう。

⭕✖クイズ

【○✖️クイズ】遺産分割協議書について

Q. 遺産分割協議書は、相続人の過半数が署名押印していれば有効である。

答え:✖️(バツ)

遺産分割協議は相続人全員の合意=全会一致が大前提です。 一部の相続人が署名していない協議書は、原則として「遺産分割協議書」としての効力を欠きます。

8. まとめ

  • 遺産分割協議書は「相続の最終合意書」
  • 書き方のポイントを押さえれば、自分たちでも作れる
  • ただし、相続人・財産が多い/特別受益・寄与分が絡むケースでは専門家の関与が安心です

👉 行政書士として:

  • 遺産分割協議書の作成
  • 財産目録の整理
  • 家族間調整のサポート

    を行い、司法書士(不動産登記)・税理士(相続税の納税)と連携する「ワンストップ体制」をご提案できます。

👉 きりゅう行政書士事務所に相談する(初回相談無料・オンライン可)

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