建設業許可の要件を完全整理|一般建設業で必ず確認すべき6つのポイント【第3話】

「建設業許可は、書類をそろえれば取得できるの?」

このような勘違いをするかたがいらっしゃいます。

建設業許可は、法律で定められた“要件”をすべて満たしてはじめて認められる許可で、どれか一つでも欠けると許可は下りません。

この記事では

  • 一般建設業許可で求められる最新の許可要件
  • 個人事業主・小規模事業者がつまずきやすいポイント
  • 「経験はあるのに通らない」典型的な例

行政書士がわかりやすく解説します。

建設業許可の要件は「6つ」ある(最新整理)

現在、一般建設業許可で確認される要件は、実務の上で次の6つです。

  1. 経営業務の管理責任者等がいること
  2. 営業所ごとに営業技術者がいること
  3. 財産的基礎または金銭的信用を有していること
  4. 誠実性が有していること
  5. 欠格要件に該当しないこと
  6. 適正な社会保険に加入していること

※以前は「5要件」と説明されることもありましたが、社会保険の加入は現在、明確な許可要件として扱われています。

経営業務の管理責任者等(いわゆる「経管」)

まず、許可への最初の関門が経営業務の管理責任者等(以下、経管)です。

これは簡単に言うと、建設業の経営に関して一定期間の実務経験がある人がいるかという要件です。

一般建設業で認められやすい代表例

  • 建設業を営む会社の役員(取締役)として 5年以上 の経験
  • 個人事業主として 5年以上 建設業を経営
  • 建設業の経営に準ずる地位(支店長・事業所責任者など)で 6年以上 の経験

ここで重要なのは、「現場経験」ではなく「経営に関わっていたか」です。

よくあるNGパターン

  • 職人歴20年 → 経管になれるとは限らない
  • 建設会社に勤務していただけ → 当時の役職・権限次第
  • 名前だけ役員 → 実態がなければ不可

経管は、経験があるかどうかより「書類で証明できるか」がすべてです。

営業所ごとの営業技術者等

次にチェックされるのが、営業所ごとの営業技術者です。

これは、その業種の工事を技術的に管理できる人が、常勤して専らその業務に従事しているという要件です。

一般建設業の営業技術者等になる主なルート

  • 国家資格を持っている
    (例:二級施工管理技士、電気工事士など)
  • 指定学科卒+実務経験
  • 実務経験のみ(10年以上)

実務で特に注意すべき点

  • 「専任」=常勤(他社との兼務は原則NG)
  • 名義貸しは厳禁(発覚すると許可取消しリスク)
  • 業種ごとに要件が異なるため、他業種の経験は使えないことが多い

※営業技術者等は次回(第4話)で、業種別にさらに詳しく解説します。

財産的基礎・金銭的信用(一般は500万円が目安)

一般建設業では、一定の資金力があることが求められます。

代表的な基準は、次のいずれかを満たすことです。

  • 自己資本が 500万円以上
  • 500万円以上の資金調達能力があること
    (例:金融機関の預金残高証明書)

個人事業主・新設法人の注意点

  • 赤字決算でも残高証明でクリアできる場合あり
  • 直前の不自然な入金は「見せ金」と疑われやすいので注意
  • 通帳コピーではなく、金融機関発行の証明書が必要(融資証明書でも良い自治体が)

誠実性があること

誠実性とは、法令違反や不正行為を繰り返していないかという点を見られる要件です。

たとえば

  • 建設業法違反を繰り返している
  • 虚偽の申請・虚偽の説明
  • 社会保険未加入を放置している

といった事情があると誠実性がないと判断される可能性があります。

欠格要件に該当しないこと

次のような場合は、一定期間は建設業許可を受けられません。

  • 破産して復権していない
  • 建設業法違反等で処分を受け、一定期間が経過していない
  • 暴力団関係者が役員等にいる
  • 許可取消しから5年以内 など

内容・時期によって判断が分かれるため、過去に心当たりがある場合は事前確認が必須です。

適正な社会保険への加入

現在、建設業許可では、加入義務のある社会保険に適切に加入していることが明確な要件として確認されます。

対象となるのは、主に次の保険です。

  • 健康保険
  • 厚生年金保険
  • 雇用保険

法人や一定の従業員を雇っている事業所で「加入義務があるのに未加入」の場合は、原則として許可は下りません

※一人親方など制度上「加入義務がない」ケースは、その旨を説明・証明できれば問題ありません。

よくあるQ&A

経管と営業技術者は、同一人物でもいい?

要件を満たしていれば可能です。

中小事業者では、代表者が両方を兼ねるケースはよくあります。

営業技術者等を外注や非常勤で置いても大丈夫?

原則NGです。

専任技術者は「常勤」が条件です。

社会保険に未加入だけど、後から入ればOK?

申請時点で加入している必要があります。

申請後に加入予定では原則認められません。

○✖クイズ|このケースで許可は取れる?

【○✖クイズ】この会社は一般建設業許可を取得できる?

Q. A社は設立3年目の建設会社。
・代表者は職人経験20年だが経営経験はなし
・営業技術者に該当する資格・経験なし
・預金残高は600万円ある
・社会保険は未加入

この場合、一般建設業許可は問題なく取得できる。

まとめ|第3話の要点

  • 建設業許可の要件は、 最新実務では6つあります
  • 特に
    • 経営業務の管理責任者等
    • 営業技術者等
    • 社会保険加入は不備が出やすい
  • 「経験がある」より 「書類で証明できるか」が重要となります
  • 早めに確認すれば、準備でカバーできる場合も多い

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次回予告

第4話|経営業務の管理責任者等(経管)を徹底解説

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