第22話|共通仮設費・現場管理費・一般管理費等の「算定率」の作り方|実績から固める原価ルール【2026年版】

「材料費と労務費を考慮しているのに、なぜか利益が残らない」
その原因の多くは、共通費(共通仮設費・現場管理費・一般管理費等)の見積りが甘いことです。
国交省の共通費積算基準で、共通費は 共通仮設費・現場管理費・一般管理費等に区分して計上することが明記されています。
そして、算定方法は積上げまたは 過去の実績等に基づく率で算定するのが基本という考え方です。
この記事では、算定率をどう作るかを開業者でも迷わないように学んでいきます。
結論:共通費は、算定率で管理しないとブレて事故る
共通費は現場ごとに細かく積上げしてもブレます(抜け・二重計上・担当者のクセなど)。
実務では
- 標準は「算定率で算定」
- 算定率に入らない特殊の条件だけ別途積上げで加算するが一番安定します。
国交省の資料でも、率で算定+率に含まれない内容は必要に応じ別途積上げで加算と示されています。
▶️公共建築工事の工事費積算における共通費の算定方法及び算定例
共通費の3区分(どこに何を入れるか)
国交省基準では、共通費を3区分に整理しています。
ここを間違えると原価管理がぐちゃぐちゃになります。
(1) 共通仮設費(現場の仮の器)
例:仮囲い、仮設事務所、仮設道路、仮設電気水道など。
(現場を成立させる設備・仮設のコスト)
(2) 現場管理費(現場を回す運営コスト)
例:現場管理スタッフ、施工図、各種調整、検査支援など。
国交省の積算資料でも、施工図作成支援・検査試験支援などが現場管理費の範囲とされています。
(3) 一般管理費等(会社を回す本店コスト+利益)
本支店の間接費、付加利益など。
「率」で算定するとは何か
共通費は、直接工事費や工期などをベースに 共通仮設費率・現場管理費率・一般管理費等率を使って算定する方式が一般的と国交省資料にもあります。
(公共工事では、直接工事費Pや工期Tで率を算出する式例も示されています。 )
民間工事でも考え方は同じで、最終的に自社の実績から率を固めるのが強いです。
本題:自社の共通費率を「実績から」作る5ステップ
開業者でもできる。最低限のデータで回せる方法にします。
ステップ1:過去の工事を10件(最低でも5件)選ぶ
条件:
- 完工している
- 追加変更も含めて最終金額が確定している
- 工期と工事種別が分かる
ステップ2:各工事を「直接工事費」と「共通費」に分けて再集計
ポイントは 、最初の見積り額ではなく、実際にかかった原価で見ることです。
ステップ3:3区分で仕分け(共通仮設/現場管理/一般管理)
最初は完璧でなくてOKです。
ただし、毎回同じルールで仕分けることが重要。
ステップ4:率を計算する
最初はこれで十分です。
- 共通仮設費率 = 共通仮設費 ÷ 直接工事費
- 現場管理費率 = 現場管理費 ÷ 直接工事費
- 一般管理費等率 = 一般管理費等 ÷(工事原価 or 直接工事費)
※公共基準の率で算定+不足は積上げで加算の考え方に合わせて、自社も率+別途加算で設計すると安定します。
ステップ5:工期で補正(これで精度が上がる)
短工期ほど率が高く出やすく、長工期は逓減しやすい。
国交省資料でも、直接工事費だけでなく工期を変数にする式例が示されています。
民間版の簡易補正例:
- 工期1か月:率+2〜3%上乗せ
- 工期3か月:基準率
- 工期6か月超:率−1〜2%調整
(※これを自社実績で確定させる)
率に入れないで「別途積上げ」にするもの
国交省の積算資料では、率に含まれない項目は積上げで算定することが示されています。
民間でも、下記は別途で押さえると強いです。
- 条件明示の要員費(特殊な常駐・警備・誘導など)
- 支給材がある場合の管理増分(支給材の評価額に対する加算の考え方が示されています)
- 発生材・建設副産物処理の条件変更(後で揉めやすいので別枠管理が安全)
- 夜間・休日・搬入制限など特殊条件
- 遠隔地での宿泊・移動が大きい案件
経営者向け:共通費率で赤字案件を弾くフィルター
共通費率を固める最大のメリットは、これです。
最低粗利ラインの作り方
- 直接工事費を見積る
- 共通費は「自社率」で自動計算
- 一般管理費等(利益を含む)を最低ラインで乗せる
- 利益が出ない価格なら、受けない
受けないは怖いですが、開業直後は特に守るべきです。
受けると「忙しいのにお金が残らない」におちいります。
よくあるQ&A
Q1. 国交省の率(公共基準)をそのまま民間に使っていい?
A. そのまま転用というより考え方(率で算定+不足は別途積上げ)を使うのが安全です。
共通費は率算定または積上げで算定することが示されています。
Q2. 共通仮設費と現場管理費の境界が分かりません
A. 「仮設=器」「現場管理=運営」で分けてください。
公共基準では3区分で整理されています。
Q3. 算定率を作る実績が少ない開業直後はどうすれば?
A. まずは仮の率(暫定率)を置いて、3件終わったら見直しするが良いです。
国交省の考え方でも、算定率は「過去の実績等に基づく」とされているので、実績が増えるほど精度が上がってきます。
1問○✖️クイズ
Q. 共通仮設費・現場管理費・一般管理費等は、案件ごとに細かく積み上げた方が正確なので、 率(%)で管理する必要はない。
まとめ
- 共通費は「共通仮設費・現場管理費・一般管理費等」に区分して考える
- 算定は「率」または「積上げ」。標準は、率+別途積上げを使うと安定する
- 自社の率は、完工実績から作って更新する(少数でも暫定→改善でOK)
- 率に入らない特殊条件は別枠で積む(要員費・支給材・特殊条件など)
共通費率が固まると、見積りが感覚的なものから経営思考に変わります。
- 自社の共通費率を作りたい(最短で暫定率→改善まで)
- 見積書の内訳(共通費の3区分)を整理して、価格交渉の説明力を上げたい
- 特殊条件(要員・支給材・副産物処理等)を別途で漏れなく入れる型を作りたい
- 工事ごとの原価管理の仕組み(率とルール)を作りたい
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