【行政書士が解説】古物商許可とは?メルカリ・ネット転売で必要なケースと不要なケース

ネットでの中古品の販売が当たり前になった今、「わたしも本格的にせどりをやってみたい」「そもそも古物商許可は必要なの?」という疑問を聞きます。

古物商許可は、中古品などを「業として」扱うときに必要になる許可です。

知らないまま無許可で営業を続けてしまうと、古物営業法違反として3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金になることがあります。

この記事では、行政書士の立場から

  • そもそも「古物」とは何か
  • どんなときに古物商許可が必要になるのか
  • 許可が不要なケースはどこまでか
  • 無許可営業のリスク

をわかりやすく解説します。


1. 古物商許可が必要になる「古物」とは?

古物商許可の話の前に、まず「古物とは何か」を押さえる必要があります。

1-1. 法律上の「古物」の定義

古物営業法では、「古物」を次のように定義しています(要約)。

「一度使用された物品」または「使用されない物品で使用のために取引されたもの(新品でも消費者の手に一度渡ったもの)」あるいは「これらに幾分の手入れ(修理など)をしたもの」

例えば、次のようなものは典型的な「古物」です。

  • 着なくなった洋服・バッグ・靴
  • 読み終えた本・漫画・CD・DVD・ゲームソフト
  • 中古スマホ・パソコン・家電
  • 中古車・バイク・自転車 など

一見「新品」に見えても

  • 一度個人が購入したが使わずに保管していた
  • 店舗の展示品として使用されていた

などのケースは法律上は古物にあたる場合があります


2. ポイントは「業として」やっているかどうか

同じ中古品でも、どのような目的で行うかとその行為を繰り返しするかによって古物商許可が必要かどうかが変わってきます。

2-1. 「業として」とは?

古物営業法上の「業として」とは

  • 反復継続して行っている
  • 利益を得る目的で行っている

と判断される場合をいいます。

たとえば――

  • 中古品を仕入れて、価格を上乗せして売る
  • 継続的に仕入・販売を繰り返し、事業として利益を得ようとしている
  • ネットショップやフリマアプリのアカウントを「お店」として運営している

といった場合には、「業として」古物を扱っていると見なされます。


3. 古物商許可が【必要】なケース

代表的なパターンを表で整理します。

ケース許可の要否ポイント
中古品を仕入れてメルカリや自社ECで販売必要仕入→販売を繰り返す転売ビジネスは典型的な古物営業
リサイクルショップ・古着屋・古本屋を開きたい必要店舗でもネットでも基本的に古物商許可が必要
不用品回収業+回収品を売却して収益にする必要なことが多い「回収して処分」ではなく「販売」で利益を得る場合
業務の一部として中古機器を買取・販売必要な可能性ありIT・オフィス機器の買取再販など

※実際の判断では、取扱品目やビジネスモデルによって細かく分かれます。

迷う場合は、管轄警察署や専門家への相談をおすすめします。


4. 古物商許可が【不要】なケース

次のようなケースでは、古物商許可は不要とされています。

4-1. 自分の不要品を売るだけの場合

  • 自宅の片付けで出た不用品をフリマアプリに出品する
  • 引越し前に自分の持ち物をまとめて売る

このように、自分で使っていた物を処分目的で売るだけであれば、通常は「業として」とは見なされず、古物商許可は不要とされています。

4-2. 新品だけを扱う物販

  • メーカーや卸から新品だけを仕入れて売る
  • 自社商品(自分の制作物)だけを販売する

この場合、「古物」ではないため、古物商許可は原則不要です。


5. 無許可営業のリスクと罰則

「今は少額の利益だから」「事業が軌道に乗ってから許可を取ればいい」という声を聞きますが、無許可で古物営業を行うことは法律違反です。

5-1. 無許可営業の罰則

古物営業法では、無許可営業などについて次のような罰則を定めています。

無許可で古物営業を行った場合
3年以下の拘禁刑 または 100万円以下の罰金(併科もあり)

また、悪質と判断されると、

  • 刑事処分の対象
  • その後の許可申請でも不利になる(欠格事由に該当する可能性)

といったリスクもあります。


6. 新しい古物営業法のポイント

詳細は第2回以降で解説しますが、最近の古物営業法の主な改正点だけ触れておきます。

6-1. 許可単位の見直し(2020年改正)

以前は、営業所ごとに都道府県単位で許可を取る必要がありましたが、現在は「主たる営業所」を管轄する公安委員会の許可で全国分をまとめて管理する仕組みに変わっています。

👉 複数県にまたがって営業する事業者にとっては、手続きがシンプルになりました。

6-2. ウェブサイトへの許可番号等の掲載義務(2024年4月1日施行)

令和6年4月1日の改正により、
古物商は、原則として自社ウェブサイト上に

  • 氏名または名称
  • 許可を受けた公安委員会の名称
  • 許可証番号

を掲載することが義務づけられました(一部、小規模事業者などの除外規定あり)。

ネット販売を行う古物商は、今後特に注意が必要です。


7. よくあるご質問(Q&A)

Q1. メルカリでちょこちょこ売っているだけでも古物商許可は必要ですか?

A. 自宅の不要品を処分目的で売っているだけであれば、通常は不要です。

ただし、仕入れて売る・継続的に利益を出す目的で行っている場合は、古物商許可が必要と判断される可能性があります。


Q2. 自分の会社の備品(中古PCなど)を売るときも古物商許可は必要ですか?

A. 自社で使用していた備品を不要になったため売却するだけであれば、原則として古物商許可は不要とされています。

ただし、それを事業として繰り返す場合は別の判断になります。


Q3. 古物商許可はどこに申請しますか?

A. 営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会(警察署窓口)です。

現行制度では、「主たる営業所」を管轄する公安委員会の許可を受ける形になっています。


Q4. まずは小さく始め、軌道に乗ってから許可を取るつもりです。

それでも違法になりますか?

A. 残念ながら、「あとで申請するつもりだった」という理由は免責になりません。

無許可営業は、規模にかかわらず処罰の対象となります。


8. ○✖️クイズ

【○✖️クイズ】古物商許可は必要?

Q. 自分の家にある不要品をフリマアプリで何度も売るときは、古物商許可は絶対に必要である。

9. まとめ|「許可が必要か迷ったら、早めに相談を」

  • 古物商許可が必要かどうかは「何を」「どのような形で」「どの程度の頻度で」扱うか で判断されます。
  • 無許可営業は、3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金という重い罰則が定められています。
  • メルカリやネットショップで中古品を扱うビジネスを始める前に、古物商許可が必要かどうかを整理しておくことが大切です。

行政書士は、ビジネスモデルを伺いながら

  • 許可が本当に必要かどうかの整理
  • 必要な場合の申請手続きのサポート
  • 改正古物営業法に対応したウェブサイト表示のアドバイス

などを行っています。

「自分のケースはどうだろう?」と迷われましたら、どうぞ一度ご相談ください。

👉 きりゅう行政書士事務所に相談する(初回相談無料・オンライン可)


🔗 次回予告(第2話)

第2話:古物商許可の取り方|要件・必要書類・申請の流れを行政書士が解説

  • 誰が申請できるのか(欠格要件)
  • 営業所・管理者の要件
  • 必要書類のチェックリスト
  • 申請から許可までの標準的なスケジュール

を申請経験のない方にも分かるように整理していきます。

\ 最新情報をチェック /

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA