古物商許可を取った後にやること|古物台帳・標識・本人確認ルールを行政書士が解説【第3話】

第2話では、古物商許可の取り方(要件・必要書類・申請の流れ)を解説しました。
他の許認可も同じですが、古物商も許可を取った時から法律上の義務を負うこととなります。
- 古物台帳(帳簿)の作成と保存
- 古物商標識(プレート)の掲示
- 買取時の本人確認
- 不正品を見つけたときの対応
- ウェブサイトへの許可情報の表示
これらを知らずに営業すると、知らないうちに違反していたという事態になります。
第3話では、古物商許可を「取った後にやるべきこと」をわかりやすく解説します。
古物商許可の取り方|要件・必要書類・申請の流れを行政書士が解説(第2話)
メルカリ・ヤフオク・店舗販売などで中古品を仕入れて販売する 場合に必要になるのが「古物商許可」です。 しかし、初めての方にとっては 自分で申請できるのか? 自宅で…
【第1章】許可証を受け取ったら最初にやるべき3つのこと
古物商許可証が届いたら、まずは次の3つを必ず行いましょう。
① 古物商標識(プレート)を掲示する
古物商は、営業所ごとに「標識」を公衆の見やすい場所に掲示する義務があります。
▼ 標識の基本ルール
- 色:紺色地 × 白文字
- 大きさ:縦8cm × 横16cm
- 材質:金属・プラスチックなど(紙のみは不可)
- 記載内容
- ○○県公安委員会 許可
- 第○○○○○○○号
- 「道具商」「衣類商」などの区分
⬇️警視庁ホームページより引用

▼ 自宅を営業所にしている場合
- 玄関付近
- 事務スペースの壁
- 来客時に確認できる位置
このいずれかに掲示しておけば問題ありません。
② 古物台帳(帳簿)を用意する
古物商は、取引の内容を必ず台帳に記録して、3年間保存する義務があります。
古物台帳は
- 紙のノート
- Excel
- クラウドシステム
どれでもOKです。
重要なのは
✅ すぐに表示できる
✅ すぐに印刷できる
✅ 必要な項目がすべて入っている
この3点です。
⬇️警視庁ホームページより引用

③ ホームページ・ネットショップの表記を整える
ネット販売をしている場合は、ウェブサイト上に「古物商の許可情報」を表示する義務があります。
最低限、次の3点は必ず記載しておきましょう。
- 氏名または名称
- 許可を受けた公安委員会名
- 許可番号
記載場所は
- 特定商取引法に基づく表記
- 会社概要ページ
- フッター
が一般的です。
【第2章】古物台帳(帳簿)のルールと記載事項
古物商の実務で最も重要なのが 古物台帳の管理 です。
2-1 古物台帳に記載する5つの必須項目
古物を売買した場合は、原則として次の内容を記録します。
- 取引の年月日
- 古物の品目・数量
- 古物の特徴(型番・ブランド・シリアル番号など)
- 相手方の住所・氏名・職業・年齢
- 本人確認書類の種類・番号
ネット取引の場合は、取引画面のスクリーンショット+台帳記録の二重管理がおすすめです。
2-2 保存期間は「3年間」
古物台帳は、最終の記載日から3年間、営業所で保存しなければなりません。
- 紙 →ファイル保存
- 電子 →バックアップ必須(外付けHDD・クラウド併用推奨)
2-3 実務では「金額に関係なく全部記録」が安全
法律上
- 原則:1万円以上の取引は必ず記録
- 例外:1万円未満でも記録が必要な品目あり
となっていますが、実務上は「すべて記録」が一番安全で確実です。
理由はシンプル
✅ 警察の確認にすぐ対応できる
✅ トラブル時の証拠になる
✅ 「記録しすぎ」で困ることはない
からです。
【第3章】本人確認(身分確認)のルール
古物商は、買取時に 売主の本人確認 を行う義務があります。
3-1 原則:1万円以上の買取は本人確認必須
対価の総額が 1万円以上 の場合は、次のいずれかで本人確認を行います。
- 運転免許証
- マイナンバーカード
- パスポート など
確認した内容は、本人確認の方法・番号などもすべて古物台帳に記録します。
3-2 1万円未満でも本人確認が必要な品目(重要)
次の品目は、金額に関係なく本人確認と台帳記録が必須です。
【従来から対象】
- バイク・原付
- ゲームソフト
- CD・DVD
- 書籍
【2025年10月改正から追加】
- 電線
- 金属製グレーチング(側溝のフタ)
- エアコンの室外機
- 電気温水機器のヒートポンプ
盗難対策が目的です。
これらは特に慎重に対応しましょう。
【第4章】標識(古物商プレート)と表示義務
4-1 標識の掲示は「営業所ごと」に必要
ポイントはこの3つ。
- 営業所ごとに1枚
- 公衆の見やすい場所
- 規格サイズ・色を守る
「置いてあるだけ」「見えない位置にある」はNGになりやすいので注意しましょう。
4-2 ウェブサイトでの表示も義務
ネットを使って古物営業をしている場合は
- 古物商の氏名
- 許可番号
- 公安委員会名
は必ず表示しておきましょう。
【第5章】古物商に課される「三大義務」
古物商には、次の3つの大きな義務があります。
- 本人確認義務
- 古物台帳の作成・保存義務
- 盗品等を発見した場合の申告義務
特に
- 異常に安い
- 出どころの説明が不自然
- シリアル番号が削られている
などの場合は、安易に買取せず警察に相談することをおすすめします。
【第6章】よくある質問(Q&A)
Q1. 古物台帳は紙じゃないとダメですか?
A. いいえ。
Excelやクラウドなどの電子データでも問題ありません。
ただし、警察から求められたときに すぐ印刷できる状態 にしておく必要があります。
Q2. 1万円未満なら本人確認しなくて大丈夫ですか?
A. 品目によっては、1万円未満でも本人確認が必須です。
ゲームソフト・CD・書籍・金属関連などは要注意です。
Q3. 台帳をなくしてしまったらどうなりますか?
A. すぐに所轄警察署へ届出が必要です。
バックアップ管理は、必ずしておきましょう。
Q4. 自宅営業でも標識は外に出さないとダメ?
A. 外に出す義務まではなく、「公衆の見やすい場所」であれば室内でもOKです。
【第7章】○✖️クイズ
Q. 古物台帳は、必ず紙の帳簿で作成しなければならない。
【まとめ】古物商は「取った後の運用」が重要です
古物商許可は、取得した瞬間がゴールではなくスタートです。
- 標識の掲示
- 古物台帳の記録と3年の保存期間
- 本人確認の徹底
- ウェブサイトでの許可情報の表示
- 不正品を見つけたときの申告
この5つを守るだけで、安心、継続、安定した古物ビジネスを続けることができます。
申請手続きなど迷われましたら、どうぞ一度ご相談ください。
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