道路占用許可とは?看板・足場・自販機の設置手続きと占用料・維持管理まで(第3話)

「店舗看板を道路側に少し出したい」
「工事の足場が歩道側にはみ出す」
「自動販売機を歩道上に置きたい」
こうした「ちょっと道路を使うだけ」のつもりでも、法律上「道路を占用している」と見なされるケースが多くあります。
この記事では、そんなときに必要になる道路占用許可について
- そもそも占用とは何か
- どんなときに許可が必要か
- 誰にどう申請するのか
- 占用料はいくらくらいなのか
- 最近強化されている「維持管理義務」とは
までをわかりやすく解説していきます。
前回までの記事は⬇️をご覧ください。
道路使用許可と道路占用許可の違いを行政書士がやさしく解説|まずはここから|第1話
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工事・イベントで必要な道路使用許可の種類と申請の流れ|行政書士がやさしく解説(第2話)
「道路の掘削工事の予定が決まった」 「お祭りやイベントで道路を使いたい」 「ロケ撮影の相談を受けた」 このようなときに必要になるのが 道路使用許可 です。 しかし、…
道路占用許可とは?【道路法第32条】
■ 「道路の占用」とは
国土交通省の説明では、道路に一定の工作物・施設などを設置して、道路の空間を継続的・独占的に使うことを「道路の占用」と呼びます。国土交通省
例:
- 道路の上に看板を出す
- 歩道の上に自販機を置く
- 道路の地下に上下水道管やガス管を通す
こうした行為は、道路本来の目的(不特定多数の通行)から見ると「特別な使い方」になります。
そこで道路法第32条は
道路を占用しようとする者は、あらかじめ道路管理者の許可を受けなければならない
と定めています。
道路占用が必要になる典型的なケース
■ 代表的な占用物件
国や自治体の案内でよく挙げられるものを整理すると、このようなイメージです。
- 地上に設置するもの
- 店舗看板・広告塔
- ひさし・日よけ、オーニング(巻取り式の日除けテント)
- 自動販売機
- 工事用足場や仮囲い
- 公衆電話ボックス、キオスク
- オープンカフェのテラス席 など
- 地下に設置するもの
- 上下水道管
- ガス管
- 電気・通信ケーブル
- 地下通路・地下街 など
- 上空に出てくるもの
- 道路上空に張り出す看板・広告板
- 歩道上空のひさし など
「道路の空間(地上・地下・上空)を継続的に使っているか?」が、占用かどうかの判断ポイントとなります。
誰がどこに申請する?【道路管理者の確認がはじめの一歩】
■ 道路管理者の考え方
道路占用許可の申請先は、その道路を管理している「道路管理者」です。
- 国が管理する国道 → 国土交通省(各地方整備局・国道事務所)
- 都道府県が管理する道路 → 県土木事務所など
- 市町村道 → 市役所・町村役場
国土交通省もまずは「どの道路管理者の道路かを確認してください」と案内しています。国土交通省
まずは道路の種類(国道・県道・市道など)と道路管理者を確認しましょう。
■ 具体的な確認方法
- 市役所・県土木事務所に「この場所はどこが管理している道路ですか?」と問い合わせ
- 国道でしたら最寄りの「国道事務所」に確認してもらう
企業占用と一般占用【誰のための占用か?】
道路占用には、大きく分けて2種類あります。国土交通省交通研究所
■ ① 企業占用(義務占用)
上下水道、電気、ガス、鉄道などそれぞれの事業法に基づく公益事業のための占用。
これは、生活インフラのために必要な占用で「企業占用」「義務占用」と呼ばれています。
■ ② 一般占用
- 店舗の看板
- 自販機
- オープンカフェ
- 民間ビルのひさし など
こうした、個別の事業者の利益のための占用は、「一般占用」と呼ばれます。
わかりやすく分類するとインフラ系か、それ以外の民間施設かといったイメージです。
道路占用許可の手続きの流れ
一般的な手続きの流れを整理すると次のようになります。
① 道路管理者の確認 & 事前相談
- どの道路を占用したいか整理
- 道路管理者(市・県・国道事務所など)に相談
- 必要な占用物件の種類・基準・書類を確認
② 申請書・図面の作成
- 道路占用許可申請書
- 位置図
- 平面図
- 断面図(必要に応じて)
- 構造図・詳細図
- 写真 など
国交省のサイトでは、看板・日よけ・足場などの記載例や添付図面の例も公開されています。国土交通省
③ 道路管理者による審査・必要に応じて警察とも協議
- 図面・占用の必要性・安全性の確認
- 警察(道路使用許可が絡む場合)との協議
- 条件付きで許可される場合も多い
道路占用許可と道路使用許可を一括受付できる場合もあります。
④ 許可 → 占用料の納付 → 占用開始
- 許可書に条件・期間・占用料などが記載
- 占用料を納付
- 許可証を現場に備え付けるよう指示されることも
必要書類の具体イメージ【看板・足場など】
国交省の「占用許可手続」のページでは、代表的な占用物件ごとに記載例と添付書類の例が示されています。
■ 看板の場合
- 道路占用許可申請書
- 位置図(どの道路のどの場所か)
- 平面図(道路との位置関係)
- 断面図(高さ・張り出し寸法など)
- 構造図(基礎や取付方法)
■ 足場の場合
- 足場の立つ位置図
- 平面図(歩道との関係)
- 断面図(高さ・はみ出し具合)
- 規制があれば、別途「規制図」(これは道路使用側)
オンライン申請ができる自治体も増えている
たとえば茨城県では、令和3年4月から道路占用のオンライン申請を開始し、占用許可基準も令和4年7月に改定版を公表しています。茨城県公式サイト
ただし
- すべての自治体がオンライン対応しているわけではない
- 占用の内容によっては窓口相談が前提
オンライン申請に対応している自治体もありますが、最初は窓口か電話での事前相談がおすすめです。
道路占用料(占用料)の仕組み
■ 占用料の基本的な考え方
道路占用料は、民間が道路空間を使うことへの対価(賃料のようなもの)」という考え方で決められます。
国土交通省の資料によれば、占用料の額は概ね次のような式で算出されます。国土交通省
道路占用料 = 道路価格 × 使用料率 × 占用面積 ×(修正率)
- 「道路価格」:固定資産税評価額・路線価などを参考
- 「使用料率」:用途や地域ごとに設定
- 「占用面積」:占用物件が使う面積
■ 令和5年(2023年)に占用料が改定
道路占用料は、地価や賃料の水準を反映させる形で令和5年4月に全国的な改定が行われています。
占用料は、道路の場所・用途・面積によって大きく変わるため、具体的な金額は道路管理者に確認が必要です。
近年強化されている「維持管理義務」とは?
ここが “最新法令” 的に重要なポイント。
■ 法改正で「維持管理義務」が明確化
平成30年の道路法等改正で、道路占用者による占用物件の維持管理義務が明確化されました。国土交通省+1
その後、国土交通省は「道路管理者による占用物件の維持管理の適正化ガイドライン」を示し、各自治体も占用者への注意喚起を進めています。
内容としては:
- 占用物件が道路の構造や交通に支障を及ぼすおそれがある場合、維持管理義務違反に問われる可能性がある
- 道路管理者が、占用物件の点検状況や安全性の報告を求めることがある
- 場合によっては、立ち入り・書類検査・修繕命令などもあり得る
■ 2025年の最新動向:定期報告の義務化など
2025年7月には、道路法施行規則が公布され、占用物件の維持管理基準がさらに強化されます(令和8年4月1日施行)。国土交通省
報道・解説によると:
- 地下管路や電柱などについて、一定の周期で安全性報告を求める仕組み が位置づけられた
- 大規模な道路陥没事故を踏まえて、道路管理者と占用者の情報共有を徹底する方向 に動いている
「最近は、占用物件の維持管理や報告義務が以前よりも重くなっている」
「安全点検をしていない占用物件は、今後ますます問題視される」
行政書士に依頼するメリット(占用編)
① 占用の要否・種類を整理してもらえる
- 本当に道路占用に当たるのか
- 一般占用か企業占用か
- 道路使用許可との組み合わせが必要か
を道路法・道路交通法の両面から整理します。
② 図面・構造図・補足説明まで任せられる
- 位置図・平面図・断面図
- 看板の構造図
- 足場のはみ出し寸法の整理
など道路管理者が求める書式に合わせた資料作りを現場の状況を聞き取りながら進められます。
③ 道路使用許可との一括相談も可能
- 占用だけでなく、工事のための道路使用も必要なケース
- 道路管理者と警察の両方と調整が必要な案件
こうした案件では、行政書士がハブになって調整することで、事業者側の手間とリスクをかなり減らせます。
よくある質問(Q&A)
Q1. 店舗のひさしや看板が、少しだけ歩道側にはみ出しています。占用許可は必要ですか?
A. 原則として、道路占用許可が必要になる可能性が高いです。
道路上空に看板やひさしを張り出して設置する行為は、各自治体の案内でも代表的な占用物件として挙げられています。
「少しだから」「昔からそうしているから」では済まないケースが増えているので、道路管理者か専門家に一度確認することをおすすめします。
Q2. 道路占用料は、毎年必ず払うものですか?
A. 多くの場合、占用期間に応じて毎年(または期間ごと)納付します。
占用料は長期間道路を使うことへの対価なので、原則として 占用期間にわたって継続的に支払う前提 で設定されています。
「何年分をいつ払うか」は、道路管理者ごとの基準や契約内容によって異なるために申請時に必ず確認しましょう。
Q3. 占用許可を取ったあとの維持管理は、どこまで責任があるの?
A. 基本的には、占用者が「自分の施設」を安全に保つ責任があります。
道路法の改正やガイドラインにより
- 占用物件の維持管理義務
- 必要な場合の点検・報告
- 管理不良の場合の是正命令
などが明確になってきています。
すでに許可を持っている占用物件(古い看板・古い管路など)も「取りっぱなし」ではなく、定期的な点検と記録 が求められる時代になっています。
【○✖️クイズ】占用料と維持管理、あなたはどこまで知ってる?
Q. 一度道路占用許可を取って占用料を支払えば、その後は特に維持管理や点検をしなくても法律上の問題はない。
まとめ|第3話のゴール
- ✅ 道路占用許可は、道路上下や空間を継続的・独占的に使うときの許可
- ✅ 申請先は「道路管理者」=国・県・市など
- ✅ 企業占用(インフラ)と一般占用(看板・自販機など)がある
- ✅ 占用料は「道路価格×使用料率×占用面積」などの式で決まる
- ✅ 近年は「占用物件の維持管理義務」が強化されている
第1話・第2話と合わせて読むことで
- 道路使用許可と道路占用許可の違い
- どんなときにどの許可が必要か
- 行政書士にどこまで任せられるのか
が一通り分かるようになったはずです。
✅ 道路占用許可のご相談は、行政書士にお任せください
「この看板、占用許可が必要?」
「昔からあるけど今さら申請って必要?」
「工事の足場が歩道にはみ出してしまう…」
こうした道路占用に関するグレーな不安は、放置すると是正指導・撤去・事故責任につながるリスクがあります。
きりゅう行政書士事務所では、道路占用許可の申請から
図面作成・道路管理者との事前協議・占用料の確認・条件整理まですべてワンストップ対応しています。
- ✅ 店舗看板・広告塔・日よけ・ひさし
- ✅ 工事足場・仮囲い
- ✅ 歩道上の自動販売機
- ✅ 地中管路(上下水道・通信)
- ✅ 道路使用許可との同時申請
【対応エリア】
飯田市・下伊那郡(松川町・高森町・阿智村・喬木村・豊丘村 ほか)
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「これって許可が必要なの?」という段階でも大丈夫です。
まずは状況をお聞きして、本当に申請が必要かどうかから丁寧にご説明します。
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