工事・イベントで必要な道路使用許可の種類と申請の流れ|行政書士がやさしく解説(第2話)

「道路の掘削工事の予定が決まった」
「お祭りやイベントで道路を使いたい」
「ロケ撮影の相談を受けた」
このようなときに必要になるのが 道路使用許可 です。
しかし、いざ現場にたずさわると
- そもそも許可は必要?
- どのような許可を取ればいいのか?
- 申請はいつまでにすればいいのか?
が分からずに期限がギリギリで慌てることも。
この記事では、道路使用許可は何をすればいいの?をわかりやすく解説していきます。
⬇️第1話では、道路使用許可と道路占用許可をわかりやすくまとめてありますのでご覧ください。
道路使用許可と道路占用許可の違いを行政書士がやさしく解説|まずはここから|第1話
はじめに|「道路の許可がよく分からない」という方へ 工事で道路を使用したい イベントで道路を使用する 看板を道路にはみ出して付けたい こんなときに必ず必要になるの…
道路使用許可とは?【道路交通法77条】
道路使用許可は、道路交通法77条に基づいて「本来の目的(通行)以外の使い方をして、交通に影響が出そうなとき」に必要になります。
申請先は その道路を管轄する警察署(交通課・交通規制係等) です。
道路使用許可が必要な4つのパターン(1号〜4号)
現場で押さえておきたいのは、道路使用許可は大きく 4つの類型(1号〜4号) に分かれる、という点です。
① 第1号:工事・作業(現場で一番多い)
「道路において工事若しくは作業をし、又はこれらのために道路に物件を置くこと」
- 配管工事・舗装工事・電気工事
- 掘削、マンホール作業
- 工事車両の路上停車(一定時間以上) など
工事会社の9割はここに入ります。
② 第2号:工作物の設置
「道路に石碑、広告板、アーチその他これらに類する工作物を設けること」
- 横断幕やアーチ
- 一時的なイベントのゲート
- 一時的な仮設看板 など
「構造物を道路上に設置する」イメージです。
③ 第3号:露店・屋台などの営業
「道路に露店、屋台その他これらに類する店を出すこと」
- お祭りの屋台
- マルシェの出店
- キッチンカー(※駐車場所による) など
キッチンカーやキッチンカーイベントでこの類型が問題になるケースも増えています。(営利目的での出店は許可が下りにくい。)
④ 第4号:祭礼・ロケ・デモ行進など
「道路において祭礼行事、ロケーション、競技会、展示会その他これらに類する行事を行うこと」
- 神輿・パレード
- マラソン・ロードレース
- ロケ撮影(ドラマ・CMなど)
- デモ行進・街頭キャンペーン など
▶ どの号に当たるか分からないときは?
実務では、複数の類型が混ざるケースも珍しくありません。
- 工事(第1号)+仮設ゲート(第2号)
- 祭り(第4号)+露店エリア(第3号) など
迷ったら 「道路のどこを・どのくらいの時間・どんな目的で使うか」 を整理して、所轄警察署に事前相談するのが安全です。
申請先と必要書類の基本
■ 申請先
- 道路の場所を管轄する 警察署(交通課・交通規制係等) に申請します。
■ 必要書類(全国共通の基本)
警察庁の案内・道路交通法施行規則では、道路使用許可の申請にはおおむね次の書類が必要とされています。
- 道路使用許可申請書(別記様式第六・2通)
- 見取図(位置図)
- 道路のどの部分を使うか分かる図
- 方法・形態が分かる資料
- 平面図
- 規制図(車線規制の有無など)
- 迂回路図
- 作業工程や実施要領 など
各都道府県の道路交通規則や警察本部サイトで、添付図面のサンプルが公表されているところも増えています。
オンライン申請はどこまで使える?【警察行政手続サイト】
道路使用許可の一部がオンライン申請(電子申請)に対応しています。
■ 警察行政手続サイトとは?
警察庁が運営する「警察行政手続サイト」から対象手続については全国の警察署に電子メール等で申請できる仕組みです。
道路使用許可についても
- 許可の 期間延長
- 同一条件での 継続使用
などの一部手続がオンライン対象となっています。
■ ただし「新規申請」はオンライン対象外
多くの都道府県警察では
- 初めての場所・内容で行う工事やイベント
- 交通環境が大きく変わるような行為
については、従来どおり窓口申請が基本です。
✅ 実務ポイント
- 「延長」「同条件での継続」のみオンライン
- 新規は窓口で相談・申請
- オンラインでも補正があると時間がかかる
というイメージです。
いつまでに相談・申請すれば間に合う?
警視庁や各都道府県警察の案内では、「早めに事前相談を」 と書かれています。
■ 目安として押さえたいスケジュール感
- 小規模な工事・撮影など
→ 少なくとも1〜2週間前には相談&申請 - 交通量が多い場所/長期間の工事/大規模イベント
→ 1か月以上前に事前相談 を求める自治体もある
京都府警の案内では、「一方通行の解除等を伴う場合は1か月以上前に相談を」と明記されています。京都府
■ 行政書士に依頼する場合のオススメ運用
- 工事:着工予定日の 2週間前まで にご相談ください
- 大規模工事・イベント:実施予定日の 1か月前まで にご相談ください
これなら、図面の作成や事前協議の時間も確保しやすくなります。
道路占用許可との関係|一括申請できる場合もある
第1話で触れたとおり、工事足場・仮囲いなどでは「使用」と「占用」がセットで申請になることが多いです。
長野県警の案内では
道路使用許可と道路占用許可の両方が必要な場合は、各申請書を警察署または道路管理者のどちらか一方の窓口に 一括して提出できる
とされています。
ただし
- 書類の不備
- 図面の修正
があると、結局はそれぞれの窓口に行く必要が出てくるために最初の図面の精度がとても大事になります。
道路使用許可に違反するとどうなる?
道路使用許可を受けずに行為をしたり、許可についた条件に違反した場合は、道路交通法119条により 3か月以下の拘禁刑又は5万円以下の罰金 の対象となります。
「バレなければいい」は通用しません。
もしも事故やトラブルが起きた場合には、許可の有無・内容は必ず確認されるポイント です。
行政書士に依頼するメリット
① 必要な許可の切り分けをしてもらえる
- 道路使用許可だけでいいのか
- 道路占用許可も必要なのか
- そもそも許可不要なケースなのか
を法令と運用を前提に整理します。
② 図面・見取図・規制図の作成を任せられる
- 位置図(見取図)
- 規制図(コーン配置・誘導員・迂回路)
- 必要に応じて断面図
など警察が見て一目で分かる図面を揃えて申請できます。
③ 事前相談〜補正対応までワンストップ
- 警察署への事前相談
- 指摘事項の調整
- 補正書類の作成
を丸ごと任せられるため、現場では 安全管理と工事・イベント準備に集中できます。
よくある質問(Q&A)
Q1. 道路使用許可は「どのくらい前」に準備すればいいですか?
A. 小規模な工事なら2週間前、大きな工事やイベントなら1か月前が目安です。
各都道府県警の案内でも「早めの事前相談」が繰り返し強調されており、交通規制を伴う場合は1か月以上前の相談を求められる例もあります。
Q2. 道路使用許可は「全国どこでもオンライン申請」できますか?
A. いいえ。
一部の手続のみオンライン対応で、すべての新規申請が対象ではありません。
警察行政手続サイトから延長申請など一部の道路使用許可がオンライン申請できますが、新規申請については窓口での申請が基本となっているのが現状です。
Q3. 道路占用許可を取っていれば、道路使用許可はいらないですか?
A. いいえ。
工事や作業で交通に影響が出る場合は、別途道路使用許可が必要です。
道路占用許可はあくまで「道路の一部を継続的に使う」ための許可であり、工事・資材搬入・交通規制など 一時的な使用には道路使用許可が必要 とされています。
【○✖️クイズ】道路使用許可のタイミング、分かってる?
Q. 小規模な道路工事であれば、工事の3日前に道路使用許可を申請しても通常は十分間に合う。
まとめ|第2話のゴール
第2話では
- 道路使用許可は道路交通法77条に基づく制度
- 1号〜4号で行為の種類が分かれている
- 申請先は道路を管轄する警察署
- 必要書類は「申請書+見取図+方法・形態の資料」
- オンラインは一部の手続のみ・新規は窓口が基本
- タイミングは「小規模でも2週間前、大規模なら1か月前の相談」が安全
というポイントを押さえました。
道路使用許可のご相談は、行政書士にお任せください
「どの許可が必要か分からない…」
「警察に相談する前に、まずプロに整理してほしい」
「図面や書類を作る時間がない」
そんなときは、きりゅう行政書士事務所がワンストップで対応いたします。
- ✅ 必要な許可の判別
- ✅ 位置図・規制図などの図面作成
- ✅ 警察署への事前相談・申請代行
- ✅ 補正・修正対応までフルサポート
【対応エリア】
飯田市・下伊那郡(松川町・高森町・阿智村・喬木村 ほか)
※書類作成のみは全国対応可能です。
まずは「これって許可が必要?」という段階でも大丈夫です。
初回相談無料で承ります。
▶ 第3話予告
第3話では、
「道路占用許可」をメインに
- 看板・足場・自販機など置きっぱなしにする場合
- 占用料(お金)の考え方
- 維持管理義務
- 道路使用許可との組み合わせの実務
をわかりやすくまとめていきます。

