【行政書士が解説】宅地建物取引業とは?許可が必要なケース・不要なケースを徹底解説【第1話】

「不動産の仕事を始めたい」
「副業で賃貸仲介を考えている」
そうした相談で最初に確認するのが 許可が必要かどうかです。
宅地建物取引業(以下、宅建業)の許可は「反復・継続して」「不特定多数のものを相手に」「報酬を得て」不動産の取引を行う場合に必要となります。
この記事では、行政書士として実務で押さえるべき許可が必要か不要かの境界線を最新法令に基づいてわかりやすく解説します。
🟩 1. 宅建業とは?(法律の定義をかんたんに)
宅地建物取引業法では、宅建業を次のように定義しています。
宅地・建物の売買・交換・賃貸の「代理・仲介」を反復継続して行い、報酬を得る事業
つまり
✔ 不動産を扱う
✔ お客さんのために動く
✔ お金(仲介手数料等)を受け取る
✔ 1回でなく継続して行う
→ この4つが揃うと宅建業の許可が必要です。
🟩 2. 許可が必要になるケース(実務でよくある例)
✔ 他人の不動産を仲介して手数料を受け取る
もっとも典型的な宅建業。
✔ 賃貸物件の仲介を継続的に行う
法人・個人とも同じです。
1回だけなら不要だが「事業として」行うのでしたら必須。
✔ サブリース業でオーナーの代理として募集するケース
条件によっては「代理」とみなされて許可が必要になります(国交省ガイドライン)。
✔ 不動産の現況調査 → 仲介 → 契約手続きまで一連を行う場合
物件案内・広告・契約書作成を伴うと「宅建業」。
🟩 3. 許可が不要なケース(誤解しやすい)
✔ 自分の不動産を売る・貸す(自ら取引)
→ 宅建業に該当しません。許可不要。
ただし、年に複数回自分の不動産を売る行為は、事業として見られる場合があります。
✔ 1回だけ知人の物件紹介を手伝った場合
→ 事業として行なっているわけではないので、宅建業に該当しない。
✔ 不動産管理会社が管理業務だけ行う場合
→ 管理受託だけなら宅建業ではない(家賃集金など)。
✔ シェアオフィスの貸主が入居者を募集する
→ 自社物件なので許可不要。
🟩 4. 無許可営業は重い罰則が(要注意)
3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金、併科されることも
(宅建業法 第79条)
法人の場合、両罰規定で会社も罰則を受けます。
無許可営業は、知らなかったでは済まされません。
許可申請が必要か不要か確認することが重要。
🟩 5. 許可の種類:知事許可と国土交通大臣許可
✔ 都道府県知事許可
- 1つの都道府県内で営業する場合
- 9割以上の会社が該当
✔ 国土交通大臣許可
- 複数の都道府県に事務所を置く場合
(例:東京本店+神奈川支店)
🟩 6. 「許可が必要か?」を判断するチェックリスト
- □ 他人の不動産を扱う
- □ 反復継続して業務する
- □ 仲介手数料を受け取る
- □ 事務所を用意している
- □ 宅建士を専任で置く予定がある
🟩 7. Q&A(よくある質問)
Q1. 副業でも許可が必要ですか?
必要です。
副業でも「事業」と判断されます。
Q2. 宅建士がいれば個人でも許可を取れますか?
可能です。
ただし 、専任性(常勤) が必要です。
Q3. 自宅の一室でも事務所にできますか?
条件を満たせば可能(独立性・机・固定電話など)。
第2話で詳細解説します。
Q4. 法人設立前に相談した方がいいですか?
絶対にした方がいいです。
事務所選び・取締役構成など許可要件が絡むためです。
🟦 8. ○✖️クイズ(クリックで答え表示)
Q. 自分の不動産を年に3回売却しても宅建業の許可は不要である。
答え:✖️(バツ)
自分の不動産の売買は宅建業ではありませんが、年3回売却となると不特定多数のものに反復継続して売買することになり宅建業にあたる可能性があります。
🟦 9. まとめ
宅建業は 、事業として不動産の取引を行うときに必要な許可です。
知らずに無許可で活動すると厳しい罰則がありますので、業にあたるか確認することが重要です。
次回の 第2話では「宅建業許可の要件(事務所/宅建士/財産要件/欠格要件)」 を最新法令に基づいて解説します。
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