🗂【行政書士が解説】自筆証書遺言保管制度とは?検認不要・低コストで安心できる新しい遺言の保管方法(第4回後半)

「自筆で遺言書を書くと、なくしてしまうリスクがあるのでは」

「生前に家族に遺言書を見られたくないな」

そんな不安を解消するのが、法務局の「自筆証書遺言保管制度」です。

令和2年7月に始まった新制度で自筆の遺言書を法務局で保管してもらえるようになりました。

ただし、安心とはいえデメリットや注意点が存在します。

この記事では、行政書士の視点からメリット・デメリット・費用・申請の流れをわかりやすく解説します。


🏛 1. 制度の概要

自筆証書遺言保管制度は、遺言者が自ら作成した自筆証書遺言を法務局で原本のまま保管してもらう制度

これまで自筆証書遺言は、自宅保管しているのが一般的でしたが

  • 紛失や破棄のリスク
  • 家族が発見できないリスク
  • 改ざん・隠匿のリスク

    が大きな課題となっていました。

保管制度では、法務局で遺言書を保管して保管証を発行します。

これにより相続後の手続きがスムーズになります。


📋 2. 手続きの流れ(5ステップで簡単)

1️⃣ 事前予約(法務局の専用窓口)

2️⃣ 遺言書作成(全文を自筆。目録はパソコン・コピー可)

3️⃣ 本人が出頭して保管申請(代理人提出は不可)

4️⃣ 保管証の交付

5️⃣ 相続発生後、相続人が「閲覧」または「証明書交付」を申請

👉 詳細:法務省「自筆証書遺言保管制度」公式ページ
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html


💴 3. 費用(最新)

区分手数料備考
保管申請3,900円1通ごと
閲覧(モニター)1,400円相続人などが確認する場合
証明書交付1,400円遺言書情報証明書を発行

※ 法務省「法務局における遺言書の保管等に関する法律関係手数料令」に基づく。

※ 公正証書遺言と比べると、リーズナブルに利用可能です。


⚖️ 4. メリットとデメリット

区分内容
✅ メリット・家庭裁判所の検認が不要
・紛失・改ざん・隠匿の心配がない
・保管証があるため相続人が探しやすい
・本人以外は閲覧制限がありプライバシー保護
・遺言内容を後日撤回・変更も可能
⚠️ デメリット・本人が法務局に出頭しなければ申請できない
・内容の法的妥当性(有効/無効)はチェックされない
・住所変更・婚姻などで氏名変更した場合は届出が必要
・対応できる法務局が限られる
・パソコン作成の「本文」は無効(自筆部分が必要)

💬 行政書士の視点から一言

この制度は「形式的な安全性」は高いものの、内容そのものの適法性までは保証されません

誤った書き方で保管しても、結果的に無効になる可能性があります。

公正証書遺言と迷う場合は、事前に専門家へ相談するのが最善です。

👉 きりゅう行政書士事務所に無料相談する
(初回相談無料・オンライン可)


📘 5. 公正証書遺言との比較

項目自筆+保管制度公正証書遺言
作成方法自筆+本人出頭公証人が作成
保管場所法務局公証役場
費用約3,900円〜5,000円〜数万円(財産額による)
検認不要不要
安全性形式は確実/内容は自己責任内容・形式ともに法的安全性が高い

💡 判断基準の目安

  • 内容が複雑・財産が多い → 公正証書遺言
  • シンプルな内容・費用を抑えたい → 自筆+保管制度

🧩 6. よくある質問(Q&A)

Q1. 保管してもらえば無効にはなりませんか?

→ 形式はチェックされますが、内容の妥当性(遺留分・法的整合性)は確認されません。

 不安な場合は行政書士など専門家の事前確認を。

Q2. 遺言者が行けないときは家族が代理提出できますか?

→ できません。本人出頭が必要です。

Q3. 登録すれば家族が勝手に見られますか?

→ 見られません。相続発生後に相続人等が手続きした場合にのみ閲覧できます。

Q4. 書き直したいときは?

→ いつでも撤回・再作成できます。その際は再度申請が必要です。


🔵 ○✖️クイズ

Q. 自筆証書遺言を法務局に保管すれば、内容も自動的に有効と認められる。

📩 行政書士への相談タイミング

  • 遺言を作りたいがどの方式が良いか迷っている
  • 相続人が多く複雑な分配を考えている
  • 保管制度を使いたいが、書き方に不安がある
  • 公証役場での手続きを行政書士に任せたい

💬 行政書士は、遺言原案の作成・文案チェック・公証人との調整まで対応可能です。

あなたの「想い」を法的に残すお手伝いをいたします。

👉 きりゅう行政書士事務所に無料相談する
(初回相談無料・オンライン可)

🧭 次回予告

第5回:「遺留分とは?兄弟で揉めないための基礎知識」
民法で保障された“最低限の取り分”=遺留分。
トラブルを防ぐために、どんな相続にも関係する重要ポイントを次回詳しく解説します。

関連リンク

🖋【行政書士が解説】遺言書の種類と効力|公正証書遺言と自筆証書遺言の違い【第4回前半】

「遺言書を書いておけば安心」と思っているかた。しかし、書き方や形式を誤ると無効になることがあります。この記事では、行政書士の視点で、遺言書の種類・効力・書き方…

\ 最新情報をチェック /

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA