💰【行政書士が解説】遺留分とは?兄弟で揉めないための基礎知識【第5回】

たとえば、遺言書に相続人ではないAさんに遺産の全部あげると書かれていたとしても、相続人には法律で守られた最低限の取り分=遺留分(いりゅうぶん)があります。

つまり、遺言書があっても完全に無視することはできません。

この記事では、行政書士の立場から遺留分の仕組み・対象者・計算の基本・請求方法までをやさしく整理します。

最新の民法改正(令和元年7月施行)に準拠して解説します。


⚖️ 1. 遺留分とは何か(民法1042条)

遺留分とは、「相続人が生活の安定を維持するために法律で保障された最低限の取り分」のことです。

たとえ、遺言書で他の人にすべて遺産を譲ったとしても、遺留分を侵害する内容はその範囲で無効となります。

(遺留分の帰属及びその割合)
第千四十二条 兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次条第一項に規定する遺留分を算定するための財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける。

一 直系尊属のみが相続人である場合 三分の一

二 前号に掲げる場合以外の場合 二分の一

2 相続人が数人ある場合には、前項各号に定める割合は、これらに第九百条及び第九百一条の規定により算定したその各自の相続分を乗じた割合とする。


👪 2. 遺留分が認められる人(民法1042条)

相続人の立場遺留分の権利の有無備考
配偶者あり常に対象
子(直系卑属)あり子が先に亡くなっている場合は孫が代襲相続
直系尊属(父母など)あり子がいない場合のみ
兄弟姉妹なし改正前から非対象

💡兄弟姉妹が相続人の場合は、遺留分がないので「すべてを配偶者に遺贈」などの遺言は有効になります。


📊 3. 遺留分の割合(民法1042条)

法定相続人の組合せ遺留分の割合
配偶者のみ1/2
配偶者と子相続財産の1/2(配偶者・子で等分)
子のみ相続財産の1/2
直系尊属のみ(親など)相続財産の1/3

🧮 たとえば

相続財産が2,000万円、相続人が妻と子1人なら

遺留分全体=1/2(=1,000万円)

妻と子で折半 → 各500万円が最低限の取り分となります。


💥 4. 遺留分侵害があった場合(民法1046条)

2019年(令和元年)改正で、従前の「減殺請求」から金銭請求(遺留分侵害額請求)に変更されました。

(遺留分侵害額の請求)
第千四十六条 遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。

🧭 請求の流れ

1️⃣ 遺留分を侵害された相続人が相手(受贈者・受遺者)に請求

2️⃣ 原則、金銭での支払い(財産を返す義務はない)

3️⃣ 1年以内に請求しないと権利が消滅(時効)

📅 期限のポイント

  • 相続発生+遺留分侵害を知った日から1年以内
  • 相続開始から10年で完全に時効

⚠️ 5. 遺留分トラブルでよくある3パターン

ケーストラブル内容解決のポイント
長男に全部相続と書かれた遺言他の子が不満を持つ書く前に行政書士・税理士に相談を
生前贈与で特定の子に多く渡した他の相続人が「不公平」と主張贈与時期・金額の証明書を整理
事業承継のため株式を1人に集中他の相続人が納得しない「遺留分への配慮文」や補償金の明記が有効

💬 行政書士の実務アドバイス

「公平=均等」ではありません。

納得感のある分け方を遺言書に残すことがトラブル防止の第一歩です。


📘 Q&A

Q1. 遺留分を放棄することはできますか?

→ できますが、家庭裁判所の許可が必要です(民法1049条)

Q2. 生前贈与も遺留分の対象になりますか?

→ 相続開始前10年以内の贈与は原則対象となります(民法1044条)。

Q3. 相続人が全員合意しても遺留分は消えませんか?

→ 遺留分の放棄手続を正式にしない限り、後で請求される可能性があります。

Q4. 請求されたら必ずお金を払わなければならない?

→ 相手が法定の遺留分を超える範囲で請求してきた場合は、金額調整が可能です。


🔵 ○✖️クイズ

Q. 兄弟姉妹にも遺留分の権利がある。

📩 行政書士への相談のすすめ

遺留分は法律上の権利ですが、感情的な争いに発展しやすい分野です。

行政書士は

  • 遺言書の文案づくり
  • 相続人の間の調整補助
  • 専門士業(税理士・弁護士)との連携を通じて「もめない相続」をサポートします。

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🧭 次回予告

第6回:「生前贈与と相続の関係」

「生前に贈ったから相続は関係ない」と思っていませんか?

実は生前贈与も“遺留分の対象”になることがあります。

次回は、相続対策で誤解しやすい生前贈与の落とし穴を解説します。

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