🏢【行政書士解説】会社設立と許認可の関係を徹底解説|建設業・古物商・飲食業など【第6回】

会社を設立しても、すぐに営業できない業種があることをご存じでしょうか?

「登記完了=開業OK」ではなく、行政の許認可が必要な事業があります。

この記事では、行政書士として実務で関わる「許認可と会社設立の関係」について

  • どんな業種に許認可が必要なのか
  • 定款で注意すべき点
  • 設立後にスムーズに申請を進める方法を解説します。

🏛 許認可とは?設立前に必ず確認すべき理由

「許認可」とは、国や自治体が特定の事業を行うことを認める制度です。

各法律で事前に「許可・登録・届出・免許」などを受けないと営業できないように決められています。

🧩 許可・登録・届出・免許の違い

区分 定義目的・特徴
許可行政が“してもよい”と認める行為。本来は禁止されている行為を特別な事情がある場合に解除し、適法に行えるようにする。公益性の高い事業や、一定の危険を伴う事業の規制。行政の裁量が大きい場合が多い。建設業、飲食業、古物商、風俗営業など
登録一定の基準(資格、経験、設備など)を満たしていることを確認し、名簿に記載すること。許可より基準が緩やかなことが多い。事業者の一定の質を担保し、取引の公正などを図る。基準を満たせば原則として登録される(形式的審査)。宅建業者、旅行業者、貸金業者など
届出行政へ事業開始の報告を行うこと。事実を通知するだけで、行政の受理によって法的な効果が発生する。行政が事業の存在を把握し、指導・監督を効率的に行うための情報収集が主目的。要件を満たせば原則として受理される(実質的審査なし)。介護事業、産業廃棄物収集運搬業、旅館業(簡易宿所など)など
免許一定の資格(国家試験合格など)を得た者に対して与えられる法的な地位や資格。業務を行うための前提条件となる。専門的な知識や技能が求められる高度な職業の規制。個人の能力や適格性が重視される。医師、行政書士、弁護士など

💬 ポイント
会社設立前に許認可が必要な事業を把握していないと

「登記したのに営業できない」「無許可営業で罰則」のリスクがあります。


🧱 許認可が必要な代表的な業種と主な要件

業種主な要件管轄官庁
建設業資本金500万円以上 or 経営業務管理責任者・専任技術者都道府県知事または国交省
古物商住民票・身分証・略歴書・誓約書・営業所の使用権限各都道府県公安委員会
飲食業食品衛生責任者・店舗構造・水回り・保健所検査保健所
宅地建物取引業専任の取引士が5人中1人以上・事務所設置・保証金供託都道府県知事または国交省
人材派遣業資産要件(資産2,000万円以上)・責任者選任厚生労働省
産廃収集運搬業車両・積替施設・運搬経路の要件都道府県知事

⚠️ 注意点
設立後に申請する場合でも、定款の事業目的欄に該当業種を明記しておくことが必須

記載がないと、許可が降りないケースがあります。


🧾 定款の「目的欄」と許認可の関係

定款の目的は、会社ができる事業の範囲を示すものです。

許認可申請では、目的に該当事業が書かれていなければ、「許可できない」と判断されことがあります。

✅ 記載のコツ

  • 「飲食店業」だけでなく → 「飲食店業及びそれに付帯する一切の事業」
  • 「リサイクル業」だけでなく → 「古物営業法に基づく古物商業」
  • 「建設工事」だけでなく → 「建設業法に基づく建設工事の請負業」

💬 NG例

  • あいまいな表現:「各種サービス業」「その他の事業」などは不許可になりやすい。
  • 業種を省略する:「物品販売」だけでは、古物商許可が通らない。

🗓 設立と許認可申請のタイミング

タイミング対応内容
設立前許認可が必要な業種か調査(行政書士に相談)
定款作成時目的欄に正しい文言を入れる
登記完了後登記簿謄本・印鑑証明書を取得して、許認可申請書に添付
許認可取得後営業開始可能(無許可営業は罰則あり)

ポイント
許認可の審査には、1〜2か月以上かかることもあるために設立と同時に並行して進めるのがベストです。


⚠️ よくある失敗とリスク

失敗事例原因対策
定款目的に該当事業がない許認可審査で却下される場合が定款変更(費用・時間がかかる)
許可取得前に営業開始無許可営業として罰則・行政処分許可証交付後に開業
資本金・専任者不足要件未達で不許可設立前に確認・補強
他士業と業務範囲の混同申請書類が整わない行政書士に早期相談

💬 よくある質問(Q&A)

Q1. 飲食業は登記したらすぐ始められますか?

→ いいえ。保健所の営業許可が必要です。店舗の検査と食品衛生責任者の配置が必須です。

Q2. 古物商許可を取るのに資本金はいくら必要?

→ 資本金の制限はありませんが、欠格事由(破産・犯罪歴等)があると取得できません。

Q3. 定款に「飲食業及び関連事業」と書けば十分?

→ 基本はOKですが、自治体によっては「飲食店営業」など具体的表現が求められる場合があります。

Q4. 建設業許可は会社設立時に必須?

→ 設立だけなら不要ですが、営業開始には必ず許可が必要です。経営業務管理責任者など要件確認を。

Q5. 個人事業から法人化するときは再申請が必要?

→ 多くの許可(古物商・建設業など)は、法人になった時点で新規申請が必要になります。注意してください。

✏️ ○✖️クイズ(貼り付けOK)

【○✖️】会社設立時に定款の目的欄に業種を記載していなくても、許認可申請はできる。
不正解
誤り。定款の目的欄に該当事業が記載されていない場合、許認可申請は受理されません。
正解
正解。許認可審査では定款の目的欄を必ず確認します。事前に行政書士に相談を。

🏁 まとめ

  • 許認可が必要な業種は、設立時点から「目的欄・資本金・人員構成」を意識する。
  • 定款に記載がないと許可が取れず、後で変更登記が必要になることも。
  • 無許可営業は、罰則対象に。設立と許認可申請は“同時並行”が理想です。
  • わからない場合は、行政書士へ早めに相談を。

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